「最大の欠点は…」マドリーの16歳“ピピ”中井卓大は「20%の狭き門」を突破できるか? 現在の立ち位置を番記者がレポート【現地発】
マドリーのフベニール・カテゴリーは3チームに分かれており(2チームのチームが多い)、今シーズンであれば2001年生まれの選手がAチーム、02年生まれの選手がBチーム、03年生まれの選手がCチームにそれぞれ所属する。実力が評価されて、2002年生まれの選手がAチーム、2003年生まれの選手がAチームかBチームと飛び級でプレーするケースも存在するが、あくまで例外に過ぎず基本的には生まれた年ごとに配属される。
ロベルト・ロドリゲス監督率いるマドリーのフベニールCが属しているリーグは、プリメーラ・アウトノミカだ。フベニールAはディビシオン・デ・オノール、フベニールBはリーガ・ナシオナルに所属する(リーガ・ナシオナルとプリメーラ・アウトノミカは地域リーグ。ディビシオン・デ・オノールは全国リーグ)。
とりわけフベニールCとフベニールBの実力は同じリーグ内で一部のチームを除いて群を抜いており、大差がつく試合がほぼ当たり前の状況になっている。したがって、勝敗を競いながら勝負強さを身に付けるという点においては若い選手にとって必ずしも理想の環境とは言えないのが実情だ。
このフベニールCで今シーズンからプレーしているピピは、開幕以来、4試合中3試合でスタメンに出場し、1ゴールを挙げている(原稿執筆時点)。ポジションはトップ下で、足下の技術に優れ、首脳陣もチームメイトもテクニックと視野の広さに一目置いている。
その一方で、周囲から課題として指摘されているのがプレーの継続性だ。それは何も試合ごとに好不調の波が激しいという点だけに留まらず、同じ試合の中でも鮮やかなパスを決めたかと思ったら、途端に消えてしまうことも少なくなく、“天才肌”特有の課題を持っている。
フベニールの段階で将来的にトップチームに昇格する素材として認められるのは、相当な実力の持ち主だけに限られる。それはテクニックからフィジカル、メンタルに至るまであらゆる能力が評価対象に含まれるのだ。
正直なところ、中井は現状そこまでの選手として認識されていない。しかしタレントは誰もが認めており、伸びしろも十分にある。これから身体が出来上がるにつれてプレーの継続性を磨いていけば、自ずと道は開けてくるはずだ。
その意味で、これから3年間、フベニールでどれだけ成長をアピールして、Bチームに当たるカスティージャ(2部B=実質3部)にたどり着けることができるかどうかが、大きな登竜門になる。このフベニールからカスティージャへの昇格は、同年代の選手とプレーしていたカテゴリーから、30歳を超えるベテラン選手とも対戦するプロのカテゴリーへのステップアップを意味するからだ。
とりわけ心身ともに成長段階にある若手にとっては大きな壁になっている。フィジカルやスタミナの課題を今の段階で抱えている中井にとっては、百戦錬磨の猛者たちと1対1でマッチアップしても対等に渡り合っていけるだけの強度やアグレッシブさを身に付けることがなおさら重要になる。
ピッチを離れると、日本人らしい礼儀正しさも手伝い、監督、コーチ、チームメイトと分け隔てなく接することができる中井は、誰からも「ナイスガイ」と認められている。精鋭揃いのフベニールからカスティージャに昇格する選手は毎年5〜8人程度。割合にして20%前後だ。
トップチームへの道のりは長く険しいが、持ち前の真面目な性格と高いプロ意識も武器にして、これから3年間フベニールで研鑽を続け、この狭き門を突破することが最初の大きな目標になる。
取材・文●セルヒオ・サントス・チョサス(アス紙マドリー番)
翻訳・構成●下村正幸
