プリウス高齢者にとって安心できるデザイン

 痛ましい事故があったばかりだが、ここで大写しになったのがトヨタのプリウスだ。今まであった同様の事故でも、加害者がトヨタ・プリウスに乗っていることが多く、ネットニュースを中心に「なぜプリウスが多いのか」的な記事も見かけるほど。

 なかにはトヨタ・プリウスに問題があるという内容のものもあるが、今回は事故との因果関係などは触れず、なぜお年寄りはトヨタ・プリウスが好きなのかを調査してみた。

 街を見ればトヨタ・プリウスに乗っている年配の方は多いし、以前トヨタの関係者に聞いたところによると、ユーザーの平均は60歳代になるとのこと。このテーマは以前から気になっており、ことあるごとにお年寄りネットワークを駆使して調査を実施 (年配の知り合いに会ったらその都度聞いただけだが)。

 一番多かったのは、安心できるデザインだから。基本はセダンが好きという声が多かったが、そうであってもとくに先代のトヨタ・プリウスは許容できる範囲にあるとのこと。準セダン的な感じと言ったら正しいだろうか。ちなみに現行型はこの点で少し許容範囲から超えているようで、前のほうがよかったという声もあった。この点が現行型の苦戦にも関係しているだろうか。

「電気で動くこと」が高齢者の心に刺さる

 またコンセプト的に安心できるというのもあって、従来からのトヨタ・カローラ的な位置づけをトヨタ・プリウスが継承しているといっていい。「トヨタらしい質実な感じ」「ちょうどいいサイズ」「経済的な走り」など、確かにトヨタ・カローラと同じような意見が聞かれた。これはトヨタ・カローラの販売にも影響している可能性はある。ちなみにトヨタ・カローラユーザーの平均年齢は60歳オーバーで、トヨタ・クラウンに至っては70歳あたりというから、トヨタ・プリウスが準トヨタ・カローラ的なポジションだと捉えられてもおかしくはない。

 次に多かったのが、ハイブリッドだから。もっと砕けて言ってしまえば、「電気で動くから」。現在の70歳から80歳あたりの方々の若かりし頃は、高度経済成長を背景にしたモータリゼーション真っ盛り。ハコスカ(3代目日産スカイライン)、S30型の日産フェアレディZなどなど、今名車と呼ばれるクルマたちが続々と登場してきた時代だ。マイカーブームもあったりと、いわゆる自動車感度はビンビンに高い世代なだけに、エンジンとモーターを複雑に使い分けて走るトヨタ・プリウスというのは強烈に刺さる存在と言っていい。もちろん環境にいいからというのも多かったが、それ以上に単純に電気で走るというほうが強いようだ。

 最後にトヨタ・プリウスと事故の因果関係について、正確な調査もなくあれこれ言うのは控えたいが、ひとつだけ気になるのは、すでに紹介したようにトヨタ・カローラやトヨタ・クラウンもユーザーの年齢としてはトヨタ・プリウスとほぼ同じ。それなのに報道を見る限りトヨタ・プリウスが多いように思えるのは、単純に販売台数の違いなのか? なにか別に理由がある気がしなくもない。