どうも違和感が拭えない。アジア大会に出場しているU−21日本代表に関する報道だ。

 8月24日に行なわれた決勝トーナメント1回戦のマレーシア戦で、森保一監督率いるチームは1対0の勝利を収めた。

 チャンスを生かし切れなかった展開に、「決定力不足」という表現は当てはまる。相手のシュートがバーやポストを弾くこともあり、終了間際のPKで何とかリードを奪った。「辛くも逃げ切った」といった表現も、試合内容とかけ離れてはいない。

 違和感を覚えるのは、対戦相手との力関係だ。マレーシアを「格下」と報じたメディアは多かった。ワールドカップに出場したことがなく、FIFAランキングが日本よりはるかに低いということで、「格下」と位置づけているのだろう。

 スッキリしない戦いぶりだった。とは思う。同時に、森保監督はこの世代のベストメンバーを連れていったわけでなく、十分な準備期間もないなかで大会に突入している。選手たちは試合を重ねるごとにお互いを理解していると感じるが、一方で疲労は蓄積されていく。試合ごとにパフォーマンスが上がっていかない理由が、そこにある。

 アジアのレベルが総体的に上がっていることも、見落としてはいけないだろう。日本のメディアに「格下」と見なされたマレーシアにしても、今年1月のAFCU−23選手権でイラク、ヨルダン、サウジアラビアとのグループで2位になり、決勝トーナメントへ進出している。同1回戦では、韓国に1対2で敗れた。僕はこの試合を観ていないが、少なくともスコア上は拮抗した戦いと言える。今回のアジア大会では、その韓国をグループリーグで下した。23歳以下のメンバーにオーバーエイジを加えたチームは、韓国撃破がフロックでないことを日本戦で見せつけたのだ。
 
 マレーシア程度のチームに苦戦をしているようでは、東京五輪での上位進出などかなわない。フル代表への昇格など望めない。だから厳しいスタンスで書く、というところはあるのだろう。しかし、『東南アジア=格下、中東=強敵』というステレオタイプな思い込みが強すぎるのではないか。
 
 ベスト8へ進出した日本は、27日の準々決勝でサウジアラビアと対戦する。サウジを「強敵」と形容するメディアは多いが、結果をなぞる限りはマレーシアより与しやすい相手に映る。
 
 イラン、北朝鮮、ミャンマーとのグループでどうにか3位を確保し、決勝トーナメント1回戦では中国と4対3の撃ち合いを演じた。60分まで4対0とリードしながら、80分以降に3失点を喫している。ワキの甘さがにじむ。
 
 AFCU−23選手権でも、16年、18年と2大会連続でグループステージ敗退に終わっている。簡単に勝てる相手ではないが、負けてはいけない相手だ。
 
 森保監督は「ベスト4以上」をターゲットにしているようだが、言い方を変えれば「最多試合数を消化したい」ということだろう。準決勝まで勝ち残れば、負けても3位決定戦がある。7試合を消化できるのだ。
 
 成長過程の選手たちにとって、また予選免除で五輪に臨むチームにとって、アジア大会のような公式戦は貴重な機会である。サウジアラビアを確実に仕留めるのだ。