2月16日に全米公開となった「ブラックパンサー」。驚異的なヒットとなり、金曜初日7580万ドル強! これは、
・「シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ」の7550万ドル
・「ダークナイト・ライジング」の7570万ドル
を上回るそうです。
なおアメリカはこの週末は月曜祝日で、いつもの3日間だけでなく、4日間の興行成績でましたが、

■オープニング3日間
1位:スター・ウォーズ:フォースの覚醒(2億8800万ドル強)
2位:スターウォーズ:最後のジェダイ(2億4156万ドル強)
3位:ブラックパンサー(2億3500万ドル)
4位:ジュラシック・ワールド(2億3415万ドル強)
5位:アベンジャーズ(2億2633万ドル強)

■オープニング4日間はなんと歴代2位!
1位:スター・ウォーズ:フォースの覚醒(2億8800万ドル強)
2位:ブラックパンサー(2億4215万ドル強)
3位:スターウォーズ:最後のジェダイ(2億4156万ドル強)
4位:ジュラシック・ワールド(2億3415万ドル強)
5位:アベンジャーズ(2億2633万ドル強)

ロッテントマト等の批評家の受けもよくマーベル・シネマティック・ユニバースの中でも歴史に残る成功作となりました。僕も先日一足早く観たのですが、かっこいいの一言(笑)そしてメッセージ性がある。ここが高く評価されているポイントです。
今回出演者はほとんど黒人俳優で監督も黒人。ヒーロー映画×黒人映画としての注目もあります。実際オバマ前大統領夫人ミシェル・オバマさんもツイッターで絶賛しています。それは昨年、女性監督で成功した「ワンダーウーマン」がヒーロー映画×女性映画として評価されたことにも近い。実際、この両作は似ていて、

1、白人男性が主役のスーパーヒーロー物に初の本格的女性ヒーロー=ワンダーウーマン、初の本格的黒人ヒーロー=ブラックパンサーが登場。コミックのみならず映画においてもその先駆けとなった。
2、映画においてワンダーウーマンの故郷セミッシラ島もブラックパンサーのワカンダ国も、外部との接触をさけ、ほぼ”鎖国状態”。しかしワンダーウーマンもブラックパンサーも他の世界=人間・社会に関わろうとせず”自分たちの国が良ければそれでいい”的な自国・先代のスタンスに疑問を感じている。
3、ワンダーウーマンはセミッシラ島の姫、ブラックパンサーはワカンダの王子(しかし父が死に若き国王)
4、ワンダーウーマンの国は(そもそも女性しかいないので)すごい女性兵団がいて国と王家を守り、ブラックパンサーの国もとっても強い女性兵団がいる。
5、ワンダーウーマンもブラックパンサーも、銃弾をはねとばす装具である。
6、ワンダーウーマンは姫でありながらヒーローとなりジャスティス・リーグに参加し、ブラックパンサーは王でありながらヒーローとなりアベンジャーズに加わる。
つまりヒーロー物に女性視点・黒人視点が入ったわけで、ダイバーシティ(多様性)発想のヒーロー映画ということで去年は「ワンダーウーマン」、今年は「ブラックパンサー」というわけです。

そして映画「ワンダーウーマン」の成功が、この先女性を主人公としたヒーロー映画が沢山つくられそうな状況を作り出したのと同様、「ブラックパンサー」の影響でペンディング中だったいくつかの黒人主役のヒーロー映画の製作が動きそうです。
まずライバルのDCは「ジャスティス・リーグ」にも登場したサイボーグの映画が動き出しそうで、またグリーン・ランタンが登場する「グリーン・ランタン コア」も3代目ランタンである黒人のジョン・スチュワートに重きを置いた作品になるかもしれません。
またマーベルもウェズリー・スナイプス出演で人気だった黒人吸血鬼ハンターを描いた「ブレイド」のリメイクや黒人版スパイダーマンことマイルズ・モラレス君を主人公にした新たなスパイダーマン映画を作るかもしれません。
DC、マーベル以外でも、何度もリメイクの噂がある「スポーン」・・・あれも主人公は黒人でした。ちなみに黒人×女性×コミックのヒーローという意味ではハル・ベリー出演の「キャットウーマン」というカルト作もあるのですが(笑)。
僕個人としてはハル・ベリーが「X-MEN」映画シリーズで演じていた黒人女性ヒーロー ストームを主人公にした作品を観てみたいです。ちなみ原作コミックではブラックパンサーとストームは結婚するんですよ!

文・杉山すぴ豊

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