サブダイレクターには、およそ四半世紀に渡ってガンバ育成機関の中軸を担ってきた鴨川幸司が就任。ユースチームの監督は松波の現役時代からの僚友である實好礼忠が務め、島田貴裕もコーチに名を連ねる。ジュニアユースの監督は、ユース出身でもある梅津博志だ。他のスタッフも気の知れた仲間ばかりで、重厚な信頼関係が構築されている。
 
「個人的には改革というより、いま以上に高めていきたい感覚です。まず環境改善のところでは、3月下旬にアカデミー専用の寮が完成する。ここ(クラブハウス)から歩いて数分の距離で、素晴らしい施設ですよ。ユースだけじゃなくジュニアユースの選手も何人か入寮する予定で、食事の管理を含めて、本当の意味での一貫指導がスタートします」
 新たなチャレンジに身を投じる松波。多忙な男はなんと年明けにもうひとつ、新たな重要ポストに就いた。ついに発足した「ガンバ大阪選手OB会」の会長に就任したのだ。ガンバが全面バックアップする公認団体で、副会長は木場昌雄が務め、OBとの連絡役や事務的な作業を率先してこなしてくれたという。Jリーグにはちゃんと組織的に活動しているOB会は意外に少なく、浦和レッズや鹿島アントラーズなど数えるほどしかない。
 
「新スタジアムが完成した時に集まって、みんな懐かしかったし、いい雰囲気でサッカーができた。こんな機会をもっと作れないかと思ってきて、こつこつとアクションを起こしてきた結果、こないだ70名近くが集まって、第1回ガンバ大阪選手OB会 総会に漕ぎつけることができたんです。会長? それはしょうがない。とりあえずみんな知ってるのは僕しかいないから(笑)。ガンバに恩返しをしながら、普及のところで貢献したい。スクールに参加したり、試合をファンの方と一緒に観ながら解説したり、ツアーを組んでキャンプ見学に行ったり、引退試合や記念試合を企画したり。いろんな活動をしてファンの方と交流したい。ひとまず、とあるOBの引退試合を企画中なので、こうご期待です」
 
 最後に、松波には心残りなことがあるという。一代限りで空席となっているガンバサダーの重責を誰が引き継いでくれるのか。どうやら意中の人物がいるようだ。
 
「僕としてはもう、フタ(二川孝広/東京ヴェルディにレンタル移籍中)しかいないと思ってますよ。でもまあ、やってくれないでしょうけどね(笑)」
 
取材・文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)