キープコンセプトではない! 新型NーBOXのデザインは「いい道具」から「上質な乗用車」へ
ヒット作の2代目として、基本スタイルを踏襲しつつ「洗練」と「上質」をテーマに掲げて登場した新型ホンダ・N-BOX。先代との違いは一体どこにあるのか、内外装を担当した3人のデザイナーに話を伺いました。
── まず、基本はあくまで「先代のブラッシュアップ」ということですが、新型独自の方向性はどこにありますか?
「先代は、道具的な佇まいと乗用車感覚が半々で、丁度いいバランスを持っていました。新型では、上級車からのダウンサイザーを意識し、乗用車らしさを引き上げました。全体の面質も、道具的でクリーンなものから上質で豊かな表情になっています」
── 新たに厚みを持たせたボンネットフードと、そこから引かれるキャラクターラインの意図は?
「新しいラインで前後方向の伸びやかさを出すのと、その下のドアの豊かな面表情を強調させています。一方、そうして増えた要素を整理するため、ボンネットの見切り線とキャラクターラインを合わせています」
── リアのクオーターウインドウ後端の形状が、上下とも丸く変更されました
「リアピラーからルーフをつたって、グッと前に向かう流れを作りたかったのです。実は、新型は先代と逆にフロントノーズが逆スラント気味なんです。その2つの流れでボディに前傾姿勢、動きを与えています」
── 先代のホイールアーチは凸面ですが、新型は逆に凹面の表情が強いですね
「先代が前後ホイールアーチをつなげ、ボディとフェンダーを別個に見せたのに対し、新型はボディ全体をカタマリで見せたいので、面に溶け込むような表情にしています。これも上質の表現ですね」
── リアランプは先代がシンプルな直方体だったのに対し、かなり複雑な形状になりました
「新型は全体を柔らかい表現にしているので、パーツについても同様の考えとしました。また、ランプの上半分は外側に張り出す形状になっていて、車幅を広く見せています」
── 次にインテリアです。新型はドライバーと助手席側でかなり表情を変えましたね
「実際には、左右に広がる太い柱の上にパネルが載っている格好で、構造はシンプルなんです。通常、コンソールを中心に左右対称にするのが一般的ですが、その比率を変えることで広さ感を出しています」
── 内装色はインパネやドア内張りの白いパッドに2トーンのシートなど、コントラストを付けた配色が新しいですね
「従来は内装を明か暗で分けていましたが、新型はそれをミックスしました。白いパッドでは目線に価値観を感じるパーツを配して質感を上げ、2色のシートは明るさと同時に、汚れが目立たないという機能性も両立させました」
── ボディカラーでは、どのように「上質」を加えたのでしょう?
「光が当たったときのハイライトを意識して新色を設定しました。ノーマルの水色はハイライトがゴールドに、カスタムのブロンズでは赤から緑味に変化し、各々の特長を生かしつつ上質感を醸し出しています」
── 内装はカフェのイメージですが、ボディはパステル系などもっと明るい色は考えなかったのでしょうか?
「とくに可愛さは狙っていなくて、やはり大人の上質さが欲しい。初期受注ではイエローの2トーンが好評のようですが、これも可愛さというより活発なイメージでしょうか」
── 本日はありがとうございました。
シルエット自体は踏襲しても、造形テーマによって表情は大きく変わります。新型NーBOXは、その点で「上質」「乗用車感」というテーマが内外装ともに明快であることが印象的でした。
[お話を伺った方]
※写真右から
株式会社本田技術研究所
四輪R&Dセンター デザイン室
1スタジオ 杉浦良、金山慎一郎
3スタジオ 渋谷恭子
(インタビュー・すぎもとたかよし)
キープコンセプトではない! 新型NーBOXのデザインは「いい道具」から「上質な乗用車」へ(http://clicccar.com/2017/09/19/509892/)