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 今年の夏も猛暑予想! 炎天下に噴き出す汗が原因で皮膚がかゆくなるのは“あせも”と思っていたら、実は“汗あれ”もあるんです。“あせも”との違いは? 予防やケア方法は? 皮膚科医の吉木伸子先生に教えていただきました。

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重症化すると長引くことも

 夏は暑くてつらいのに、腕や首がかゆーい! 虫刺され? 日光アレルギー? もしかして、そのかゆみ「汗あれ」かも!?

「汗をかいた後に、皮膚が赤くなり、かゆみやピリピリした刺激があるのは、汗あれの可能性があります」と、よしき皮膚科クリニック銀座院長の吉木伸子先生。

 汗あれって何? あせもとどう違うの?

「汗あれとあせもは夏に起こりやすい皮膚の季節病です。ともに汗が原因の症状で、あせもは急激な発汗により、汗が出る管が詰まり水疱ができた状態。一方、汗あれは、汗が刺激となってかゆみやピリピリした刺激を生じるものです」(吉木先生、以下同)

 あせもは、ブツブツとした発疹ができるのに対し、汗あれは、通常できない。でも、自分では区別がつきにくいことも。

 汗あれの原因は汗の成分。

「汗の99%は水ですが、残りの1%にアンモニアなどの成分が含まれています。その成分が皮膚の刺激となり、かゆみなどを起こします」

 初夏から夏にかけて、汗あれの患者さんが増加するという。汗あれになったら皮膚科にかかったほうがいい?

「皮膚をかかなければ、2週間程度で自然治癒します。しかし、かいてしまうと皮膚が傷んで長引くことがあります。かきすぎてバイ菌が入ると、別の病気を引き起こすこともあります」

 かかずに自然治癒するのがいちばんだが、強いかゆみがある場合は?

「市販のかゆみ止めを塗ってケアしてください。それで治るようなら皮膚科にかかる必要はありません。薬を塗っても治らない、かきすぎて皮膚が傷んでしまった場合は、皮膚科を受診しましょう」

洗いすぎが汗あれの原因に

 汗あれが起きやすい場所は汗がたまりやすいところ。例えば、お腹まわり、ブラジャーのアンダー部分、襟元、関節の内側など。

「夏は衣類を調整して、汗あれを防ぎましょう。ベルトで圧迫する、キツめのブラを着用するなどは避け、衣類によるムレを防ぎましょう」

 襟元はもともと皮膚が薄く汗あれを起こしやすいという。関節の内側や、襟元はどうやって防げばいい?

「お風呂で洗いすぎないことです。ナイロンタオルでゴシゴシこすると皮膚を傷め、ボディソープを使いすぎると皮脂が落ちてしまいます。すると、皮膚のバリア機能が弱まり、汗あれを起こしやすくなります。汗は水溶性なので、ボディソープを使わず、シャワーだけで十分落ちます」

 夏は特ににおいを気にして、ゴシゴシ洗ってしまうが、それが汗あれの原因になる。

「1日に2回もボディソープを使って洗う人がいますが、そんなに必要ありません。そもそもにおいの成分は、皮脂に含まれます。多く分泌するのは頭と顔。腕や脚が皮脂でテカテカすることなんてありませんよね?」

 皮脂が多い部分は毎日洗ってもよいが、そのほかはシャワーで流す程度で十分。全身を洗うのは週に1度でOK。

「そのときボディソープではなく石けんを使ってください。液体ボディソープは、使いすぎてしまうのが難点。ボディソープを使う人は、固形石けんに比べて20倍もの洗浄成分を使っているというデータもあります」

 洗いすぎを防ぐと同時に、皮膚の保湿が重要。

「湯上がりは保湿成分が含まれたスキンケア用品を塗りましょう。夏でも手足に粉がふくくらい乾燥している人は特に念入りに」

 保湿をして、皮膚の角質を整えておけば、バリア機能が働き、汗の成分が入ってこなくなるという。

予防は皮膚を保湿し汗をまめにふくこと

「夏は角質が乱れていると、紫外線の影響も受けやすくなります。夏こそ保湿は重要なんです」

 夏は紫外線予防に日焼け止めを使いがちだが、これは肌を乾燥させる原因になり、汗あれにはNG。さらに、

「日焼け止めを使うと、落とすためにゴシゴシ洗ってしまいます。日傘や帽子、手袋などで紫外線から守りましょう」

 また、汗が出たらまめにふくことが大事。

「ふくときにゴシゴシこするのはNG。綿のハンカチで軽く押さえるようにしましょう」

 市販の汗ふきシートを利用するのも、一案です。

「ただし、肌が敏感な人は注意して。防腐剤やアルコールなどを含むものが多く、頻繁に使うと、かぶれることもあるからです」

 アルコールを含むものは、清涼感があるが、頻繁に使ったり、ゴシゴシこするとかぶれる可能性が。背中など目立たない場所で、かぶれないかをチェックして。

【「あせも・汗あれ」の予防と対処法・まとめ】
・ガーゼや綿素材のタオルで、汗はまめにふく
・ベルトや下着(ブラジャー)の摩擦を避ける
・適度に保湿する

<教えてくれたひと>
吉木伸子先生◎よしき皮膚科クリニック銀座院長。横浜市立大学医学部卒。慶応義塾大学病院皮膚科学教室などを経て、現職。レーザー、ケミカルピーリングなどの美容皮膚科学と漢方を取り入れた治療を行い、メディアでも活躍