関東、東海など各地で梅雨明けした2017年7月19日、岐阜県多治見市では、最高気温が35度を超える猛暑日となった。これを受けて、ニュース番組のインタビューに答えた地元の若い女性の一言が話題になっている。

「もっと暑い日もあるので、こんなんじゃ、へばってたら、多治見じゃ生きていけないって思いますね」

NHK「ニュース7」では19日、最高気温が35.3度となった多治見市内の様子を紹介し、その中で女性がこんな強気な感想を漏らした。市民にここまで言わせる「暑さ」とは何なのか。Jタウンネットは、気象台に話を聞いてみた。

10年前の最高気温40.9度は、観測史上2番目


多治見市内では7月に5度も猛暑日に

多治見市は、岐阜県南部に位置し、愛知県名古屋市のベッドタウンともされている。2007年8月16日には、埼玉県熊谷市とともに最高気温が40.9度を記録し、観測史上最高となって一躍注目を集めた。その後、13年8月12日に高知県四万十市で41.0度を記録したが、現在も熊谷市とともに2位をキープしている。

こんな経緯もあって、多治見市の地元では、夏は暑いものとの認識が広がっているらしい。ツイッター上でも、女性への共感の声が次々に上がった。

「最高気温が高くなるのは、地形的なものがある」

多治見市では、7月に入って、7日に35度を超えたのを始めに、8、15、16、19日と5日間も猛暑日になっている。

やはりかなり暑いところなのだろうか。もしそうなら、なぜ暑いのか。

岐阜地方気象台の防災課は、Jタウンネットの20日の取材に対し、次のような見方を示した。

「統計は取っていませんが、岐阜県内でも、平均気温はそれほど飛び抜けて高いわけではありません。最高気温が高くなるときがあるのは、地形的なものがあるでしょう。伊勢湾から暖かい空気が入りやすく、名古屋を通って多治見市内の背後の山々にぶつかって熱気がたまるのではないかと考えられます」

なお、複数の地元紙の報道によると、最高気温が高い理由について、多治見市と筑波大学計算科学研究センターが協定を結んで研究を進め、16年10月にその成果が報告された。それによると、多治見市から見て西方にある伊吹山地でフェーン現象が起こり、高温となった西風が、名古屋周辺の都市部で地表熱に温められて、多治見市内に届くのではないかという。

届いた温かい風は、市内に滞留し、条件がそろえば気温がどんどん上昇するのかもしれない。