横浜vs大島
横浜が攻守に格の違いを見せつけた。2回、6番・市村拓巳(3年)のレフトオーバー二塁打を皮切りに、3本の二塁打を浴びせて3点を先取する。
5回は5番・万波 中正(2年)が左中間スタンドに滞空時間の長い大きな放物線を描く2ランを浴びせ、ここから更に4連打を浴びせるなど、打者11人8安打を集中し大量7点を加えた。
万波は6回にも、今度はライナーで左中間の場外に運び、2打席連続弾を放った。190センチ、89キロ。来年のドラフトでは間違いなく高校生の目玉選手になる大器の片鱗をみせた。
先発の塩原 陸(3年)は13三振を奪い、大島打線に本塁を踏ませなかった。
大島の左翼手・本田智揮(3年)は「横浜が相手ということで動揺していた」と言う。2回、先頭の5番・万波は変化球に体勢を崩し、打ち取ったと思われたが、本田は打球を見失う。「当たりからして前だろう」と前進しながら行方を探したが、打球は見当違いの左中間深く。センターの濱田雄一郎主将(3年)があと一歩届かず、無死二塁のピンチになった。
「ミスが出ると打球への恐怖心が出てしまう」本田の動揺を見透かしたように、試合巧者・横浜はこの後レフト方向に打球を飛ばす。それらをことごとく処理できず長打にして3点を失った。「ミスをしてもすぐに切り替えられるメンタルの強さを身に着けたい」と本田は敗戦から得た教訓をかみしめた。
「神村学園や鹿児島実とも違う、異質な打球だった」と塗木哲哉監督。全国クラスの打線にも対応できるよう、外野手を定位置よりも少し後ろに守らせていたが、想像を超える打球の伸びに対応しきれなかった。
積極性が身上の打線も、横浜の右腕・塩原を打ちあぐねた。低めと思ったボールが高めに伸びて空振り、それを修正して高めを見極めるようになると今度は左右のコースをうまく突いてくる。足を使った攻めも全く機能せず、6回まで二塁も踏めなかった。
唯一気を吐いたのが4番・太月幸(3年)だった。「強豪校相手に自分の力を試す」意気込みで3安打。7回にはチーム唯一の長打となるセンターオーバー三塁打を放った。「自分たちの野球が最後までできなかった」敗戦だったが「甘いボールを逃さず積極的に打つ」姿勢を貫いて意地を見せた。
(取材・写真=政 純一郎)
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