横浜vs鹿児島実
横浜の左腕・板川 佳矢（2年）、鹿児島実の右腕・渡邊 竜基（3年）、両先発の好投で1点を争う好勝負だった。
3回まで渡邊の前にパーフェクトに抑えられていた横浜だったが、4回、一死から2番・山�� 拳登（2年）が死球で出塁。野選で一二塁とチャンスが広がると、二塁けん制が悪送球になり、センター方向へ転々とする間に、二走・山��が生還して先制した。5回には一死一三塁でショートゴロの間に2点目を挙げた。
鹿児島実は5回裏、一死二塁から1番・古薗 康太（3年）がセンターオーバー三塁打で1点を返し、なお一三塁とチャンスが続き、一塁けん制悪送球の間に三走・古薗が生還して同点に追いついた。 その後、両者得点は奪えなかったが、8回、横浜が4番・増田 珠（3年）の犠牲フライで勝ち越し、これが決勝点になった。
鹿児島実は、ベンチ入り20人中17人をつぎ込んで、夏に向けて様々な選手を横浜にぶつけ、様々な課題と収穫が見えた。 この試合の一番の反省点は「ランナーのミスが多すぎた」（宮下正一監督）こと。初回、2回と不用意なけん制球で刺され、チャンスを逸した。大きな収穫としては「渡邊が横浜打線を3点で抑えたこと」が挙げられる。この春は県大会、九州大会と主軸として登板経験を積み、横浜の強力打線が相手でも6安打3失点と試合を作ることができた。
2得点に絡んだ古薗は「最後のチャンス」で結果を出すことができた。 この1週間、古薗は宮下監督から練習禁止令を受けていた。大型連休中の練習試合で、攻撃でも守備でも「勝負をしていない、不用意な軽いプレーが目立った」ことへのペナルティーだった。「練習させてください」。練習中、寮、何度か土下座までして練習参加を直訴した古薗だったが、宮下監督は首を縦に振らなかった。 試合直前の学校での練習でも別の選手にティーを上げていた古薗に宮下監督は「これがラストチャンスだからな」と背番号6と1番でのスタメン出場を告げた。
「無我夢中でした」と古薗。1、2打席とライトフライに倒れ、いよいよ後がなくなったが「無心で打った」3打席目にタイムリー三塁打が出た。一塁けん制がそれ、果敢にホームへ突入する。一か八かの際どいプレーだったが「身体が勝手に反応した」。間一髪セーフで同点に追いついた。
「気持ちの大切さを分かって欲しかった」と宮下監督。古薗は「自分のワンプレーがチームの命運をも左右する」ことが身に染みて分かった貴重な経験になった。
（取材・写真＝政 純一郎）
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