大体大浪商vs上宮太子
大阪府を代表する好投手として注目される2人の投げ合いは期待通りの投手戦となった。大体大浪商の先発・宮本 大勢は最速139キロを誇る本格派左腕。立ち上がり、ストレートのコントロールが浮いていたが、3回以降からストレートが低めに集まり、そしてスライダー、チェンジアップも低めに決まり、ミート力が高い上宮太子打線を抑え込んだ。球速的なものは、130キロ前半(最速133キロ)と決して速くはないのだが、球持ちがよく、角度ある速球を投げ込むことができている。
一方、上宮太子のエース・森田 輝も、伸びのある130キロ前後のストレートを武器に大体大浪商打線から三振を量産。この冬は指先にしっかりと力を伝えたリリースができることをテーマに、週5回、1日で150球を投げる投球練習を繰り返しながらフォームを固めてきた。連投となったが、スタミナは問題ないと語る森田。実際に球速的なものに大きな変化はなく、伸びのあるストレートで上宮太子打線に立ち向かっていった。
大体大浪商打線がチャンスを作ったのは4回裏、二死一、三塁のチャンスを作って、打席に立ったのは6番北口。「森田君はストレートの伸びが凄かったのですが、とにかくチームのために打ちたい」その一心で、ストレートにくらいつき、先制の適時打。そして6回裏にも5番田中の適時打が飛び出し、2対0とリードする。
宮本は尻上がりに調子を上げていった。130キロ前半のストレートが低めに集まり、曲がりが小さいスライダーを武器に、上宮太子打線を抑える。9回表、代打・前田に適時打を浴び、1点を失ったが、なおも一死一、三塁のピンチを招いたが、併殺に切り抜け、決勝進出。37年ぶりの府大会優勝へあと1勝に迫った。
完投は今年に入ってから初めて。大体大浪商の四田監督は、「最初は継投も考えていたのですが、尻上がりに調子が上がっていたのと、相手の森田君が連投の中、懸命に投げているのを見て、森田君がマウンドを降りるまで1人で行かせようとおもいました」宮本は1人で投げ抜くつもりだった。9回前に四田監督から「投げるか?」と聞かれた宮本は「投げます」と即答。最後は1点を取られたが、粘りの投球で近畿大会出場を導いた。
敗れた上宮太子の日野監督は「2対1というスコアは森田ではなければできなかったスコアです。良く投げてくれました」とここまで力投の森田をたたえた。また今後の課題について、日野監督は全体の底上げだと語った。「終盤、森田に打席が回りました。代打を出してもいいと思いますが、あえて打たせました。あそこで代えられる投手、そして頼りになる打者がいれば変える選択肢もありました。なぜ森田を打たせているのか、チーム全員で考えてほしい」とコメント。大会は森田だけでは勝ち抜けない。夏では、森田以外の投手の底上げ、そして、レギュラー以外の打者陣の実力アップがテーマだと捉えている。近畿大会出場をかけ、3位決定戦では全員野球で勝利を目指す。
そして決勝進出を決めた大体大浪商は大阪桐蔭と戦うことが決まった。秋季大会前の練習試合では11対5で破っている。相手は強敵だが、自分たちの実力を存分に発揮して、大阪の頂点を勝ち取る。
(文・写真=河嶋 宗一)
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