大体大浪商vs関西創価
大阪府は大阪桐蔭と東海大仰星がすでに準決勝進出を決めている。豊中ローズ球場で行われた第1試合、大体大浪商と関西創価の一戦は1点を争う好勝負となった。
関西創価の先発は主将でエースの村上 大貴。左腕から投げ込む直球は、球速は125キロ〜128キロと決して速くないのだが、体重移動がしっかりしていて、リリースでしっかりと指先が伝えることができており、球速表示以上のストレートを投げこむことができる。その村上を援護するべく、関西創価は3回裏、二死二塁から3番松永 レオの適時二塁打で関西創価が1点を先制する。
だが6回表、大体大浪商は6回表に反撃。一死から2番西上圭人の二塁打、3番西川尚汰の内野安打でチャンスを作った大体大浪商は、4番木村税(ちから)の野選で同点に追いつくと、5番田中滉大の四球でチャンスを広げ、一死満塁から6番北口啓全(けいと)が三塁手を強襲する適時打(記録は左前安打)で二者生還して、3対1と勝ち越しに成功した。
6回裏、先発左腕の田村篤史が要所を締めるピッチングで、1失点の好投。7回裏からエースの宮本 大勢(3年)がマウンドに登った。
大阪府を代表する好投手であり、同時にドラフト候補として注目される宮本。その宮本が投手として自信をつけたのは、昨秋の府大会直前に行った大阪桐蔭との練習試合だ。レギュラーメンバが登場したガチンコ勝負。この試合で宮本は7回1失点の好投を見せた。
大体大浪商の四田勝康監督は、「あの試合の好投は宮本にとって大きな自信をつけさせるものだったと思います」と振り返る。しかし4回戦で履正社と対戦して、8失点(8回完投)を喫し、コールド負け。この悔しさをばねにしてきたのだろう。下半身の体つきを見ると、この冬、みっちりと鍛え上げてきたと伺わせる体つきだった。その宮本は、ストライク先行から投球を組み立てるあたり、まさに好投手。フォームは上半身、下半身のバランスが取れたフォームであり、右足をバランス良く上げた後、じっくりと重心を沈み込んで、着地を行う。そのあと、右肩の開きが抑えられ、下半身主導で体重移動でフィニッシュを終えることができるフォーム。
だが、この日は雨もあり、調子が良くないのか、球速は常時128キロ〜133キロとあまり球速は出ていない。それでも粘り強く抑え、9回裏、二死満塁のピンチを招き、最後、遊撃手の失策で1点を失うが、本塁へ突っ込んだ二塁走者を冷静に刺して、試合終了。ベスト4進出を決めた。
四田監督は、「3対2と1点差で勝ったことに値打ちがあるゲームだったと思います」と試合内容を評価。
勢いに乗る大体大浪商。この試合は3点のみだが、ここまでの戦いぶりを振り返っても、順当に勝ち上がっている。選手たちの心に火をつけたのは、選抜優勝の大阪桐蔭、準優勝の履正社の存在だ。「私が選手たちに言っていることは、『お前ら、この大阪で戦えることを誇りに思いなさい』ということですね。この春も、大阪以外の選抜出場校や秋季大会で実績を残した学校さんとも試合をしましたが、負けなしなんです」と、3月以降の練習試合はほぼ負けがないという。
準決勝では、秋優勝の上宮太子と対戦する。引き続き、大体大浪商ナインは、上宮太子vs大阪学芸の試合を観戦した。四田監督は、「上宮太子の森田 輝君は、春だけではなく、夏でも絶対に対戦する可能性を持った投手。自分が打席に立つつもりで見てこいと伝えました」 大体大浪商ナインは真剣な眼差しで、この一戦を観戦している姿が見られた。準決勝の戦いはすでに始まっていた。(文・写真=河嶋 宗一)
注目記事・2017年度 春季高校野球大会特集