中国大陸に媚びる大学の「承諾書」波紋広がる  教育部が実態調査/台湾

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(台北 5日 中央社)台湾の私立大学、世新大(台北市)が中国大陸の大学から学生を招聘するにあたり、教育課程で政治的に敏感な問題を扱わないなどと定める承諾書に署名していた問題。教育部(教育省)の調べで、世新大以外にも複数の大学が同様の文書に署名していたことが分かった。同部では他大学でも類似のケースがなかったかどうか実態調査を進めている。

教育部は3日、世新大のほかに、中華大(新竹市)、中原大(桃園市)、朝陽科技大(台中市)、静宜大(台中市)、清華大(新竹市)が同様の文書に署名していたと発表。関係者は、内容はそれぞれ異なるとしながらも、いずれも同部に対して事前報告がなかったことから、「台湾地区・大陸地区人民関係条例」に違反したと指摘している。

4日には一部メディアが承諾書に署名した大学は30校以上に達すると報道。教育部の蔡清華・政務次長は同日、調査中だとして報道内容を一部否定したが、新たに台湾大(台北市)や中国文化大(台北市)でも文書の存在が明らかになった。

ただ、どの大学も、署名した文書は政治的に敏感な問題を扱わないとするだけで、中国大陸が主張する「一つの中国」に対する承諾書ではないと釈明。教育部も「今懲罰を語るのは時期尚早」とし、対中国大陸政策を担当する行政院(内閣)大陸委員会と違法性の有無を協議する方針を表明した。また、両岸の大学交流の奨励は国の政策だとして、禁止することはないとしている。

一方、台湾大学の学生会および研究生(大学院生)協会は5日、各大学の行為を遺憾だとし、教育部に処分を求める声明を発表した。学術の自由な立場を守り、大学運営の初心を維持することを呼びかけている。

(許秩維、陳至中/編集:齊藤啓介)