聞こえてくるのは、おめでたい話ばかり。スポーツニュースは、芸能ニュースに取り込まれた状態にある。

 清武は、思い起こせば、昨年の11月の時点で最も輝いて見えていた。好選手ひしめくセビージャへ移籍。試合にも出場し、スタメンも狙おうかという勢いをのぞかせていた。本田、香川から清武の時代へ向かうのか。11月の段階で、代表チームにプラスのエネルギーをもたらしそうな一番の存在だった。

 その3ヶ月後、セレッソに移籍。国内組の1人に甘んじようとは、想像だにできなかった。
 
 セレッソ復帰にあたっての移籍金は6億円超だという。セレッソとしては、それ以上の金額を提示しないと、清武を売るつもりはないはずなので、それは海外組に戻ることがほぼ不可能になったことを意味する。選手としてのグレードが、そのレベルで確定してしまったことを意味する。多くの選択肢がある中で、お世話になったセレッソを選択した。そんな物言いをする報道を多く目にしたが、少なくとも、これは日本サッカーにとっては、プラスのエネルギーにはならない。いい話ではない。

 本田、香川、そして清武。さらに言えば柴崎と、中心選手として期待される選手から、よいニュースが聞こえてこない日本。好ましくない事態に直面しているにも拘わらず、可能な限りよい話に仕立てようとするメディア。元選手の評論家が、いまだに、誰々より本田を起用した方が……と、擁護に回ろうとするテレビ解説は、日本のアゲアゲ報道体質を象徴する事例になる。

 3月上旬、ハリルホジッチはどんなメンバーを選ぶのか。新機軸を打ち出さないと、期待値は下がるばかり。限界値は鮮明になる。少なくとも、だ。これからの5試合。いい流れを作りたいなら、いまの本田に代表される負のエネルギーを抱えた選手は、代表に混入すべきではないと思う。