エプソン「カラリオ」2016年モデル発表会 - 全7機種9モデル、新CMキャラは女優の吉田羊さん
●お客さまに驚きと喜びを
エプソンは、家庭用インクジェット複合機・プリンタの「カラリオ」シリーズに、2016年モデルとなる全7機種9モデルを追加。いずれもオープン価格で9月15日以降、順次発売する。ここでは、9月1日に都内で開催された新製品発表会の模様をお伝えする。
○お客さまに驚きと喜びを
冒頭のスピーチは、エプソン販売 代表取締役社長の佐伯直幸氏。エプソンは中・長期ビジョンの中で「省・小・精の価値」というキーワードを掲げている。これを家庭用インクジェット複合機・プリンタに当てはめると、「いつでもどこでも簡単に印刷できる接続性と環境」「使うことで環境負荷低減が実現できる性能」「最大パフォーマンスを実現するために安心して使い続けられる機能」の追求になるとした。
新モデルのフラッグシップ的なEP-879Aシリーズなどは、その理想を具体化したモデルといえそうだ。佐伯氏は「常に変わり続ける市場をリードしていく商品をお届けして、お客さまに驚きと喜びを提供していきたい」と言葉に力を込めた。
○気兼ねなく楽しく印刷を実現
続いて、セイコーエプソン 取締役の久保田孝一氏は事業戦略と新製品の機能紹介、エプソン販売 取締役の鈴村文徳氏はプロモーション戦略を紹介した。今回の新製品は、カラリオプリンタ(複合機)が4機種6モデル、「宛名達人」「Colorio V-edition」「エコタンク搭載モデル」がそれぞれ1機種1モデルとなっている。
久保田氏によれば、カラリオプリンタはどこにでも置きたくなるデザイン性とコンパクトボディを追求し、家族みんなで使える機能を凝縮したという。Colorio V-editionでは、高画質写真を低ランニングコストで実現。エコタンク搭載モデルでは、大量印刷のニーズを取り込んでいきたい考えだ。
これまでエプソンは、ホームユース市場において、豊富な機能と幅広いラインナップを特徴にしたカラリオプリンタを展開してきた。だが、幅広い消費者に対して最適な製品を提供するために、カラリオシリーズから派生した製品を増やしている。
具体的には、簡単高画質に作品が出力できるColorio V-editionを2016年3月に、インク交換の手間を軽減と低ランニングコストを実現したエコタンク搭載モデルを2016年2月に開始した。鈴村氏は「より多くのお客さまが気兼ねなく、楽しく印刷できるように今後も選択肢を増やしていきます」と述べる。
●史上最小のEP-879Aシリーズ
○史上最小のEP-879Aシリーズ
「EP-879A」シリーズは、カラリオの歴代シリーズで最もコンパクトな、6色染料インクを搭載したA4対応の多機能複合機。5年前の機種と比較すると、横幅10cm弱のサイズダウンに成功している。コンパクト化の秘訣について、久保田氏は「給紙機構やインクカートリッジの配置を見直した」と説明している。外観はインテリア小物のような洗練されたデザインで、このため家庭のリビングにも違和感なく溶け込む。
用紙やSDカードのセット時にも操作パネルを閉じることができる。操作パネル、排紙トレイは自動でオープンする仕様。高周波数帯(耳障りな音)を低減するなど、生活シーンを邪魔しない静音性にもこだわった。
また、新規CMYインクの採用によって、緑領域の色域が拡大。写真の仕上がりがより鮮やかになっている。フロント、リアのどちらからも給紙できる設計で、新たに名刺、トレーシングペーパーにも対応。デザインペーパー印刷により、工作やラッピングに使う用紙をつくることも可能だ。このほかフォトストレージ機能により、EP-879Aに接続したストレージに写真データを集約しておける。
このほかカラリオプリンタには、複合機の4機種が追加される。A3印刷に対応した「EP-979A3」は、PCを介さずにA3サイズの原稿をコピーすることも可能。A4対応の「EP-709A」はコンパクトな筐体ながら印刷速度が向上した。はがきや文書印刷に対応した「PX-049A」は液晶を搭載しない機種で、やはり従来機種より印刷スピードが速くなった。
「PF-81-2017」は、昨年(2015年)に発売された宛名達人「PF-81」に、人気作家のコンテンツを収録した「年賀状デザイン集 2017」を同梱したモデル。はがきの原寸大表示が可能な9型のタッチパネル搭載により、仕上がりのイメージが湧きやすい。
Colorio V-editionには、高画質な作品づくりが可能な「EP-30VA」が登場。L判1枚あたり約12.7円という低ランニングコストを実現し、日常的に気兼ねなく印刷を楽しめる。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本色に加えて、レッドとグレーインクを採用した6色染料インク「Epson ClearChrome K2インク」により、カラーとモノクロ、どちらの印刷でも広い色域と豊かな階調表現を実現する。
エコタンク搭載モデルには「EP-M570T」が追加される。EP-M570Tは、本体側面に大容量のインクタンクを装備。A4カラー文書を1カ月あたり300ページ印刷しても、2年間はインクの追加購入が不要だという。久保田氏は「インク交換の手間を軽減して、安心感を実現した」と述べる。
○CMキャラクターにはあの人
鈴村氏は、各製品の参考価格(エプソンダイレクトショップにおける価格)と発売スケジュールを明らかに。主なところでは、EP-879Aシリーズが30,980円、EP-30VAが49,980円、EP-M570Tが39,980円。いずれも発売時期は10月の予定となっている。販売目標としては、2016年末の時点でインクジェットプリンタ全体の45%以上を設定している。
エプソンが目指すプリンタのイメージは「身近な存在」「安心」。そこで、2016年の新CMキャラクターには、女優の吉田羊さんが選ばれている。
○印刷速度向上の秘訣は?
説明会の最後に質疑応答の時間が設けられた。EP-879Aシリーズではボディサイズがコンパクトになったのに合わせて、液晶のサイズが2.7インチに縮小。これについて使い勝手に影響はないのかという質問に、セイコーエプソン プリンター企画設計部の柴崎佳秋氏は「社内でも議論があり、悩んだ。試作を繰り返した結果、UIを見直すことで使い勝手を損なわずに液晶を小さくできるという結論に至った」と回答した。
また、従来製品ではサイズがコンパクトになるにつれ印刷速度も遅くなる傾向にあったが、新製品では印刷速度が上がっている。この理由について聞かれると、柴崎氏は「印字のツブツブを打っていく段階で、紙送りの方法を見直してプリントヘッドが動く回数を減らした。これが速度の向上につながった。他社製品にはもっと速いものもあるので、私たちも検討を続けていく。画質の良さを維持した状態で、どうやって印刷も速くできるか。両立できるようにしていきたい」と回答した。
(近藤謙太郎)