夏のボーナス、投資するなら何がベスト?

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英のEU離脱問題により拍車がかかる円高、株安、マイナス金利……。投資環境が不透明な現在、夏のボーナスはどのように運用すべきだろうか。

今回は負債(借金)がなく、少しでも増やしたい、という人に向けて高利回りを狙う「攻めのボーナス活用」について考えたい。

配当利回りの高い株式に投資するのは従来からある投資法だが、配当だけでなく、株主優待も含めた実質利回りで銘柄選択することをオススメしたい。株式投資の醍醐味は値上がり益(キャピタルゲイン)を得ることだが、それが期待しにくい今は、より利回りを重視。売却益より、配当(インカムゲイン)や優待というリターンを稼ぐことにする。

たとえばヤマダ電機(東証1部・9831)は、1株配当が16円で配当利回りは2.97%。加えて株主優待として500円の優待券が年間で6枚受け取れる。これを3000円と換算すると、配当金と合わせた利回りは約8.5%となる。現在の相場では、約5万3800円程度で投資可能だ(1単元100株。配当額は会社予想。株主優待は100株保有の場合。株価は7月8日時点。以下同)。

メガバンクの定期預金金利0.01%と比べても高水準であることはいうまでもないが、1年保有した場合、株価が8%下がっても損はしない、という計算になる(売買手数料など考慮せず)。

また配当利回りや株主優待に魅力がある銘柄は投資家に人気があり、株価が下がりにくいというメリットもある。

「クリエイト・レストランツ・ホールディングス」(東証1部・3387)は、1株配当が13円で配当利回りは1.3%。株主優待は年6000円分の優待券。投資額は9万5500円で、株主優待を含めた利回りは7.6%程度に相当する。優待券は磯丸水産(居酒屋)などの展開するレストランで利用できる。

株主優待には自社製品なども多いが、金額に換算すると魅力が薄いケースもある。現金と同様の価値を持ち、なおかつ確実に利用できる優待券などを狙うのが合理的だ。

吉野家ホールディングス(東証1部・9861)は投資額約14万円に対し、配当金が2000円、300円の優待券が年6000円分で、利回りは約5.7%となる。

ほかに株主優待を含めた利回りの高い銘柄に、「三光マーケティングフーズ」(東証2部・2762)の8.5%、「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」(東証1部・3222)の7.2%などの例がある。

行き付けの店の経営母体について、投資に必要な額、1株配当額、株主優待の内容をチェックしてみたい。

株価が安いほど利回りは高くなる(業績の確認は必要)。配当や優待を受けるためには権利確定日前に株主になっておく必要があり、1〜2カ月前くらいから株価が上がりやすいので、早めに買うといい。

攻めのボーナス活用には、「個人向け社債」も候補になる。現在は募集していないが、今年4月にはSBIホールディングスが期間2年・年利0.75%、5月にはマネックス証券が期間1年・年利0.6%の個人向け社債を発行した例などがある。利回りの高いものは人気になり、すぐに売り切れるため、証券会社のホームページや新聞の情報をチェックしておきたい。

(ファイナンシャル・プランナー 深野康彦 構成=高橋晴美)