「有史以来、最も大きく、最も豪華な宮殿を!」というルイ14世の命によって建設されたヴェルサイユ宮殿。「世界一豪華な宮殿」ともいわれるこの宮殿は、年間400万人もの観光客が訪れるフランス屈指の名所で、宮殿とその庭園は世界遺産にも登録されています。

もともとはルイ13世が建てた狩猟の館でしたが、17世紀後半、太陽王ルイ14世が自らの富と権力を誇示するために新たな宮殿建設を発令しました。

当時の一流の芸術家たちを動員し、1661年の着工から1710年の王室礼拝堂の完成まで50年を費やして建てられ、のちにルイ15世が手を加えて現在の姿となりました。

フランス革命が起こった1789年までフランス絶対王政の中心地であった華やかな宮廷世界を覗いてみましょう。

館内に入ってまず最初に目にするのがギリシア神殿のような支柱が印象的な王室礼拝堂。

かつては毎朝10時にここでミサが行われ、王族は上階の特別席に姿を現しました。1770年にはルイ16世とマリー・アントワネットの婚礼の式もここで執り行われたといいます。

つづいては、ルイ14世時代の最後につくられた「ヘラクレスの間」。

ピレネーやベルギーから運ばれてきた色大理石と金箔で彩られた豪華な空間です。ルモワンヌによる天井のフレスコ画には142もの人物が描かれており、3年を費やして完成しました。

壁にかかる大きな絵画「シモン家の宴」はヴェネツィア総督から同盟の証としてルイ14世に贈られたもの。

飲み物や軽食を楽しむ部屋であった「豊穣の間」は、王のプライベートコレクションが展示された場でもありました。小さいながらも変化に富んだ空間です。

「太陽王」と呼ばれたルイ14世をたたえて神話の世界を描き、王の権力を象徴した「ヴィーナスの間」。

ル・ブランが手がけた内装は絵画や彫刻といった芸術作品で埋め尽くされています。

軍事的勝利をテーマにした大理石とブロンズの空間、「戦争の間」。

天井の丸画はフランスの勝利を、その周辺は敗れた敵国を表しています。

次から次へと現れる絢爛豪華な空間の数々にただただ圧倒されてしまいます。

そしてヴェルサイユ宮殿でもっとも贅を尽くした空間が1866年に完成した長さ73メートルの「鏡の回廊」。

当時高価だった鏡を357枚も使用し、フランスの政治経済の覇権を示しています。ここで舞踏会やレセプションなどが催されました。王族たちがここでどれほど贅沢三昧の生活を送っていたのかが目に浮かんでくるようです。

1701年に宮殿の中心に置かれた王の寝室は王の私生活の場であるだけでなく、謁見や会食、儀式の場としても使用されました。「太陽王」を名乗ったルイ14世はその象徴として、自らの寝室を日の出に面するようにしたのだとか。

王と王妃が公式の食事をした「大膳式の間」。夜10時になると音楽が奏でられるなかここで優雅なディナーが始まりました。

ルイ王朝が総力を尽くして築いた宮殿からはフランスの黄金時代がしのばれます。それにしても王家の富と権力の象徴であったヴェルサイユ宮殿の建設が結果的に王家の破滅につながるとはなんとも皮肉な話ですね。

ヴェルサイユへはパリから鉄道で約40分と、日帰りで気軽に訪れることができます。ヴェルサイユ宮殿はパリのルーブル美術館と同じか場合によってはそれ以上に混雑する大人気スポット。観光シーズンともなると日中には入場待ちの長蛇の列ができています。個人で訪れるなら朝一番、できれば開館時間になる前に行くようにしましょう。

またチケットを持っていないと待ち時間が長くなる可能性が高いので、パリ・ミュージアム・パスを入手するか事前にオンラインチケットを購入しておくのがおすすめです。

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