パレ・ガルニエ(オペラ座)をシンボルとして、パリを代表するデパートやブティックが集まる活気ある商業エリア、オペラ地区。

マドレーヌ広場の中央に建つ、古代ギリシャの神殿を思わせる堂々とした建物がマドレーヌ教会です。聖女マグダラのマリア(フランス語でマグダラのマリアは「マリー・マドレーヌ」)を守護聖人とするカトリック教会で、何度かの工期中断を経て1842年に完成しました。


正面を飾るのは「最後の審判」を題材としたルメールの彫刻で、外観からはここがパリの教会であるとは思えません。高さ30メートルのコリント式円柱が52本並び、古代ギリシアの神殿を模した新古典主義様式の外観は、キリスト教の教会としてはまさに異例。

マドレーヌ教会の建設がはじまったのは1763年のことでルイ15世自らの手によって最初の礎石が置かれました。ところがフランス革命が起こり、工事は中断されてしまいます。

その後ナポレオン1世の命により、この建物の造営目的が教会からフランスの戦没将兵の顕彰に変更され、一時は神殿の建設が計画されていました。しかし1812年のロシア遠征後、ナポレオンは神殿建設の考えを撤回。最終的にルイ・フィリップの時代にようやく完成を見るという数奇な運命をたどることとなったのです。

教会の入口はバチカンのサン・ピエトロ大聖堂の中央扉よりも高い重厚な扉により厳重に守られています。

この扉は重さが3.5トンにも及ぶもので、十戒を表す見事なレリーフに目を奪われます。

一歩内部に足を踏み入れると、その瞬間空気が一変するかのように感じられます。

薄暗い内部は重厚かつ荘厳で、天井のドームから差し込む光が実に神秘的。

丸天井を彩るフレスコ画にはマグダラのマリアを天に迎えるキリストや弟子たち、聖人たちの姿が描かれています。

天使たちに囲まれた白亜のマグダラのマリア像はこの上なく清らかで可憐。いまにも天に浮かび上がっていきそうな幻想的な雰囲気をたたえています。

歴史を感じさせるパイプオルガンは有名な楽器製作者カヴィレ・コールが制作した4鍵盤からなる58音栓のもの。

オルガンの周囲の壁や天井に施された精巧な装飾にも注目です。

フランスを救った少女、ジャンヌ・ダルクの像もありますので見つけてみてください。

1849年にはこの教会でポーランドが生んだ天才音楽家、フレデリック・ショパンの葬儀が行われ、3000人の参列者を前に聖歌隊とオーケストラによる演奏が披露されたのだとか。

芸術的な装飾と荘厳な雰囲気に満ちた大変見ごたえのあるマーガレット教会。パレ・ガルニエ(オペラ座)見物やショッピングとあわせて訪れやすい場所にあるにもかかわらず、観光客の姿は意外に少ないので穴場的なスポットといえるかもしれません。

パリを訪れた際は、ぜひこのユニークかつ美しい教会に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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