上のマッチ棒のようにも見える不思議な銀河は、Kiso 5639という「おたまじゃくし銀河」の一種です。観測はニューヨークのヴァッサー大学のDebra Elmegreen氏とその同僚がハッブル宇宙望遠鏡を用いて行ないました。
 
このKiso 5639は地球から8000万光年先のおおぐま座の方向に位置します。銀河の直径は8800光年で、頭の部分の幅は2,700光年ほどです。
 
元々おたまじゃくし銀河は1990年代に発見されていました。この銀河は新たに生まれた星による明るい頭の部分と、薄暗い尾の部分からできています。また、以前にはこのような銀河は2つの銀河が衝突した際に形成されるものとされていました。
 
しかし新たな観測により、銀河間のガスが銀河内に落ち込むことで星が生成され、その過程でこのような明るい「頭」の部分ができるとの説が提唱されています。なぜなら、このような銀河の多くは低レベルの重い物質を含んでいるのですが、銀河間のガスはそのような物質をほとんど含まず、逆に星が重い物質を作り出すからです。
 
さらに、このようなおたまじゃくし銀河は私たちの銀河の歴史のヒントになるかもしれません。なぜなら私たちの銀河は最初は小さく、このようにして銀河間のガスと衝突することで「おたまじゃくし銀河の時期」を経て大きくなっていった可能性があるからです。
 
おたまじゃくしの時期を経て大きくなるなんて、まるで銀河が生き物のようで親近感がわきますね!
 
Image Credit: NASA, ESA
■Tadpole galaxy spawns stars after eating invisible gas cloud
https://www.newscientist.com/article/2089016-tadpole-galaxy-spawns-stars-after-eating-invisible-gas-cloud/?utm_source=rss&utm_medium=rss