任天堂NXの名前の由来を社長も知らない? 君島社長、次期ゲーム機はWii Uの後継ではないと語る

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任天堂の君島達己社長は『TIME』の独占取材を受け、スマホ事業におけるIP(知的財産)の活用、Wii Uに対する新作ソフトの供給など、今後の展望について幅広く回答しました。その中で次世代ゲーム機・コードネームNXについて、WiiやWii Uの後継機ではない独自のゲーム機であることを、様々な含みを持たせて語っています。

今年9月の就任以来、日本国内では目立った発言がなかった君島社長ですが、打って変わって雄弁に。今までの沈黙を破るように、同社の将来にわたる長期的展望について、語れることは具体的に、まだ公式発表の段階に達していないことは適度にぼやかして述べています。

「マリオを使わないの?」とメディアに期待されたり失望されたり忙しいIPについては、むやみにスマホ事業に投入しないとのこと。これまでのゲーム人口の拡大を超えた目的のためにはIPを活用する必要は認めるものの、レッドオーシャンと化しているスマホ市場に投下しても大成功できはしないと冷静に分析しています。あくまでスマホ事業は大きなパズルの中の1ピースに過ぎず、テーマパーク(ユニバーサル・スタジオと提携して、マリオなどキャラクターのアトラクションを共同運営する予定。時期は未定)や商品化の一環であると。

さらに先日スタートしたニンテンドーアカウントと、それをベースにした新サービス(来年3月にリリース予定)マイニンテンドーにも言及。当面はこれら2つの成功がスマホ事業に関連した第一のゴールであり、様々なプラットフォームにまたがった任天堂の資産を一つに統合する要であること。そしてマイニンテンドーは、廃止されたクラブニンテンドーと同様にソフトを購入するとポイントが付くだけに留まらず、テーマパークなど関連事業にも使えるようにしたいとビジョンを語っています。

今回の取材の目玉は、次世代ゲーム機のNXが「WiiやWii Uの後継機ではない」と明言されていること。Wii UはWiiと互換性があり、Wiiもゲームキューブを基礎にリモコンを追加したハードでした。そうした「後継機」では、ユーザーに旧機種とどこが違うか説明しにくいため、ユニークで異なるプラットフォームにするとのこと。

この発言は「なぜWii Uの売上が伸び悩んでいるか」にも繋がるもの。君島氏は社長就任時に日経に"Wii Uを発売するとき「Wiiに似すぎていて失敗する」と言い当てるなど"と反応に困る褒められ方をしていましたが、「失敗するとは言ってない」とキッパリ否定。すでにWiiが世界中に普及して実際に遊ばれている状況では、ユーザーをWiiからWii Uに移行させるのは難しいと言ったまでと、意図が正確に報道されなかったことに不満を表明しています。

ほかNXというコードネームの意味は分からないし、どこから付けられたのかも知らないと正直に告白。前社長の岩田さんは語るつもりだったが、その機会はなかった...と切なくなる発言もあり。

その他の目ぼしい発言は来年3月にリリース予定のスマホアプリMiitomoは、ニンテンドーアカウントを持っていればよりフレンドとの連絡が取りやすくなる。他のコンテンツへの動線になれば......と期待している

Wii Uは同時期のWiiの10分の1しか売れていないが、現在のお客さんに満足してもらえるよう新作ソフトを作り続ける

アミーボはソフトとの連動など任天堂の意図した用途ではなく、もっぱらコレクションとして売れている

宮本茂氏のクリエイティブフェローや竹田玄洋氏の技術フェローという役職は、任天堂の将来を見据えたもの。『マリオカート』シリーズの紺野氏や『マリオギャラクシー』の小泉氏といった創造する力を育てている

QOL(生活の質を高める)事業は継続中だが、今の時点ではこれ以上話せない

などなど。

こうした展望は、長期政権あればこそ。君島氏は自分が1年間の暫定社長と思われているとボヤきつつも、ずっと続投して行くつもりのようです。若くて才能あるスタッフと仕事をしたいし、彼らを未来のリーダーに育てていきたいと決意を語っています。

こうした率直な発言は、ユーザーに直接、ニンテンドーダイレクトで語りかけて欲しいですよね。