ニッポン放送<4660>のフジテレビジョン<4676>への新株予約権発行を差し止める東京地裁の仮処分決定を不服として、同放送が申し立てた保全抗告審で、東京高裁(鬼頭季郎裁判長)は23日、抗告を棄却し、地裁決定を支持する判断を下した。

 同放送は新株予約権の発行を24日に予定していたが、高裁の決定を受け「当社の正当性を確信しておりましたが、認められずまことに遺憾です。今後の対応について、検討してまいります。なお、新株予約権については発行を中止いたします」として最高裁への特別抗告を断念。これにより、一連の買収劇は事実上の“決着”がついた格好となった。

 ライブドア<4753>が求めた新株予約権発行をめぐる仮処分申請では、東京地裁は今月11日、◇ライブドアがニッポン放送の支配権を取得しても、同放送の企業価値が著しく毀(き)損することが明らかとはいえない◇ライブドアが時間外取引でニッポン放送の株を取得したことは、証券取引法に違反しているとは認められない−として、「予約権発行はフジサンケイグループ経営陣の支配権維持が主目的で不公正」とするライブドア側の主張を認め、同放送に差し止め命令を出した。

 同放送はこれを不服として異議を申し立てたが、同地裁はさらに16日の異議審で「(ニッポン放送の対抗策は)株を市場で公開しているのに、大量の株式を取得した株主が現れるや、取締役会が事後的に新株予約権を発行して買収者の持ち株比率を一方的に低下させることは、投資家の予測可能性の観点からも許されない」と述べ、「新株予約権の発行は『著しく不公正な方法』と認めざるを得ず、差し止めを認めた前の決定は正当だ」と地裁決定を支持。同放送はこの判断を不服とし、さらに東京高裁に保全抗告していた。【了】