昭和9年3月27日朝、田中角栄は夢見ていた上京への一歩を踏み出した。新潟の柏崎駅から信越線回り上野行きの鈍行列車であった。夕方、高崎駅下車。折りから高崎競馬場で持ち馬を走らせていた父・角次と待ち合わせ、一晩、一緒に宿を取って久し振りに父子の時間を過ごした。翌日、上野駅着。晴れての東京、15歳の人生の冒険の始まりだったが、田中にとってこの地はとんでもないところであった。まず、上京に際して紹介された日本