中国の解放軍系メディア「軍報記者」は17日、微博(ウェイボー、中国版ツイッター)で、習近平国家主席を描いた油絵9点を紹介した。異色なのが、習主席がサッカーをしている光景を描いた作品だ。背後では、多くの中国人が国旗を掲げて応援している。(写真は新浪網の19日付報道の画面キャプチャ)

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 中国の解放軍系メディア「軍報記者」は17日、微博(ウェイボー、中国版ツイッター)で、習近平国家主席を描いた油絵9点を紹介した。異色なのが、習主席がサッカーをしている光景を描いた作品だ。背後では、多くの中国人が国旗を掲げて応援している。

 他の作品が扱っているのは主に、習主席が農村などを視察した際の情景にもとづくものだ。習主席夫妻が米国のオバマ大統領夫妻ち並ぶ光景をあらわした絵画もある。「軍報記者」によると、画家らは「各時期の歴史的資料を探し、それぞれの場面における習主席の演説を研究」して創作に励んだという。

 「サッカーをする国家主席」は、習主席が2012年にアイルランドを訪問した際に同国体育協会を視察し、スタジアムでボールリフティングを披露した際の写真などを参考にしたと思われる。黒いスーツの上に黒いコートを着用の姿は当時と同様だ。ただしもちろん、アイルランドのスタジアムで背後にいたのは両国の関係者で、「中国13億の民」ではない。

 習主席を描いた油絵作品は、大手ポータルサイトの新浪網も転載した。ただし、「軍報記者」は「サッカーをする国家主席」を最後の作品として紹介したのに対し、新浪網は「最初の1枚」として掲載した。9作品中の異色作といえる「サッカーする国家主席」の作品が最も人目を引くことは確かだ。「軍報記者」の掲載でも、「いいね」が最も多く寄せられたのも、同作品だ。

 中国では国家指導陣をパロディー化するなどで茶化すことが禁じられている。同作品は破天荒な描き方で習主席をやや戯画化したようにも見えるが「おとがめがあった」とは伝えられていない。

 習主席はサッカーファンとして知られる。そして、中国のサッカーが低迷し、ワールドカップを招聘できていないことを「まことに遺憾」と考えているという。これまでに、「学校教育にサッカーを取り入れる意向だ」などとの報道もあった。17日には新華社が中国政府・教育部の決定として「2017年までに全国で、各校がサッカーの面で特色を持つ学校を2万校作る」などと報じた。

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◆解説◆
 日本では、スポーツ選手の育成に「部活」が大きな役割を果たしてきた。小学生の時代、あるいはそれ以前からチームに参加することも珍しくはないが、中学、高校と進むにつれレベルが高い「強豪校」に入学し、全国大会を目指す例が多かった。プロのスカウトに評価されれば高校卒業と同時に「プロ選手」となることも夢ではない。

 中国では、スポーツや芸術などの分野で、小学生低学年程度から才能のある子を見出し、「英才教育」をほどこすシステムが機能してきた。そのため、「普通の学校」の運動部の活動は、日本ほど目立つものではなかった。中国における「サッカーで特色を持つ2万校を作る」により、日本の教育の場におけるスポーツの人材育成と似たシステムが出現する可能性もある。(編集担当:如月隼人)(写真は新浪網の19日付報道の画面キャプチャ)