去年の今頃は、まだ斎藤佑樹の動静が頻繁に報じられたものだ。しかし、今年はとんと噂を聞かない。久々に入ってきたニュースは「キャンプは2軍スタート」というものだった。

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昨年は開幕投手として勝利を挙げ、完封も記録しながら、5月から成績が悪化し、7月末に2軍落ち。

ここでも成績を上げることなく、くすぶっていたが、9月30日に1軍に昇格、ソフトバンク戦で救援登板した後(1回1被安打1四球自責点0)、10/5の楽天戦で投げたが、4.2回で9被安打、3四球1本塁打自責点6と無残な成績に終わり、以降はポストシーズンにもよばれなかった。

吉井コーチ退団は救援投手の起用法をめぐって栗山監督と対立したことが主因であり、斎藤の問題は大きくはなかったとも言われるが、これまで二人三脚でフォームを調整してきた吉井コーチがいなくなることは、斎藤には辛いことだろう。

日本ハムには大谷翔平が入団し、フレッシュなイメージも大谷に奪われた。

11月の侍ジャパン船出のキューバ戦ではロースターに入ったが、登板は無し。

WBCにはお呼びがかかることはなかった。

そして、最後は「キャンプの2軍スタート」の報。

ばかばかしい話だが「引退」までささやかれている。



ここまでくれば、バッシングに近い気もする。

斎藤は右肩痛に悩んでいるという。球威の衰えはそういう面もあっただろう。

ただ、斎藤の不振の原因は、恐らくメンタル面だ。齋藤が調子の良いときは、遅い速球をずばっと投げ込んだ。そしてタイミングを外すスライダーで仕留めた。

入団時、「速球で勝負したい」と言った斎藤に、吉井コーチは「それは球速を上げることと違うで、ほな」と言ったとされる。コントロールと、度胸と、緩急で打者と勝負せよということなのだ。

昨年は春先までそれができていたが、5月中旬以降できなくなった。フィジカルな問題がきっかけだったかもしれないが、自信を喪失したことが大きかったのではないか。

斎藤は自信を失うと、とにかく「失敗したくない」という後ろ向きの気持ちがマウンドにも滲み出てしまう。

吉川がエースとなり、ケッペルが復帰、大谷が加入して投手陣が厚みを増す中、斎藤の影はますます薄くなっている。首脳陣は「先発の柱の一人」とは言っているが、半信半疑の感もある。

しかし、斎藤のように人気を「持っている」選手を喪失するのは、球界の損失である。

好調時には、確かに良い投球をするのである。打者を手玉に取る投球は、見ていて小気味が良い。

練習嫌いという噂もあるが、斎藤はアゲインストの風をものともせず、春には何事もなかったように先発ローテに戻ってほしい。