バロン澤不在も、堂々の殴り合いでなでしこJAPANがアルガルベ杯準優勝の巻。
ロンドンの金メダルは見えた!

大きな手応えを感じる準優勝でした。まるで手枷足枷をつけながら戦うような文字通りの「テストマッチ」の連続。ワールドカップを制したイレブンをズラリ並べることはなく、あくまでもロンドンを見据えた新たな選手起用に徹したなでしこJAPAN。ついには「ただの体調不良」という理由で澤穂希さんを温存したまま、アメリカに勝利しドイツと接戦を演じました。互角以上の準優勝。世界の名だたる強豪にこの戦いができるなら、ロンドンでの金は十分に狙える目標です。

思えばワールドカップでは、ドイツ・アメリカに対して挑戦者の立場で臨みました。気持ちは今でも挑戦者ですが、あのときとはワケが違います。勝ったこともない相手に挑む格下の国…それが紛うことなきあのときの日本の立場。旗色の悪さは隠せず、どれだけなでしこ自身が「勝つ」と繰り返しても信じ切ることはできませんでした。半分くらい「負けるんだろうなぁ」と覚悟していたものです。しかし、アルガルベカップでの戦いは、そんな半信半疑を払拭するに十分なものでした。

ワールドカップでは、奇跡のようなシュートミスの連発に助けられたはずの相手が、今大会は「あれ?」と思うほど弱く感じられました。日本の守りがグズグズなのに、何となくピンチを防げてしまう。激しくプレッシャーを掛けられても、何となく押し返してしまう。確かにデカかったり速かったりするので、個々の局面では危ない場面もありますが、チームとしての仕上がりで大きな差を感じられました。

そりゃそうです。よくよく見れば相手もミスだらけで、3本も4本も回せばどこかでヘンなとこに転がしてプレーが途切れるのですから。普段バルセロナばっかり見ているので、パスがつながるのは当たり前だと錯覚していましたが、足で蹴るのがそんなに容易いはずはなかったのです。ワールドカップの戦いも、相手が勝手にミスしたのではなく、ひと手間ふた手間余計にかけさせる粘りが相手のミスを誘発していた…今ならそう思えます。

その点、なでしこのサッカー…特に攻撃は、セットプレーを筆頭として、ライバルよりも圧倒的に正確な「意図したプレー」の連続。パスを回して「相手を崩せる」日本と、ドッカンとゴールに迫ってくるライバルのプレーでは質に違いがあります。偶然に頼る割合が小さいぶん波もないでしょう。今大会でも決勝まで無失点のドイツから3点を奪ったように、試合中のどこかでは相手を崩して点が取れる感触があります。

そうなると、もうあとは守備で頑張れば普通に金メダルが獲れるんじゃないかと。デカくて速い相手をひとりで止めることはできないでしょうが、時間を掛けさせて、もうひとりアタックに行けばミスするんじゃないかと。「あと一歩」を出せるキレがあれば、勝利は見えるぞと。結局、大きな大会で勝敗をわけるのはコンディショニング。「澤が体調不良」でも勝ち負けできる見込みは立ったのですから、「澤が絶好調」なら圧勝です。ロンドン五輪、大いに期待ができそうですね。

ということで、澤さんの体調不良について心配しつつ、7日にフジテレビが中継した「アルガルベカップ決勝 日本VSドイツ戦」をチェックしていきましょう。



◆バロン澤、スピルバーグ則夫、二人の世界一がチームを鍛え上げる!

決勝の舞台にまたも姿を見せないバロン澤。2試合つづけて体調不良での欠場。ワールドカップ時点なら震え上がったかもしれませんが、今は違います。バロン澤と言えど、いつかはピッチを去るのです。いつまでも甘えているわけにはいきません。キャプテンマークはすでに宮間あやが引き継ぎました。それは「アタシがいなくても大丈夫だよね」という意味です。

はたしてバロン澤の体調不良とは何なのか。詳細は協会からも明かされていません。監督は「風邪っぽい」と語るものの、広報は「ウイルス性の疾患ではない」と説明。同室の鮫島彩を緊急隔離するわけでもなく、逆に「時間帯によると思うけれど良くなったり悪くなったりのよう」と証言しているほど。

これには僕の中の名探偵コナンも「オンナノコの日か…?」「いや、それはないだろう。ていうか、そんなに重いタイプだっけ?」「待てよ!逆にオンナノコの日が来なかったんじゃないのか!」と矢継ぎ早に推理を展開。アカチャンホンポ周辺での聞き込みを始めるとともに、「クソッ!証拠がねぇ!」と地団太を踏んでいる状態です。

ということで、バロン不在で始まった試合。

しかし、バロン不在だけでなく、さらなる試練がなでしこを待っていました。仕掛け人は自称ノンフィクションの名監督・スピルバーグ則夫。バーグ則夫はこの大舞台でも、あくまでもロンドンを見据えた采配に徹します。右SBは近賀を外して有吉をテスト、CBは熊谷を外して宇津木をテスト、中盤は宮間を中央に入れ、阪口・宮間のコンビをテスト。テストの連続です。

その影響か前半の日本はしっくりこないプレーの連続。当然のようにボランチからの配球を潰しにくるドイツ。普段のサイドではなく中央に入った宮間を経由したい日本。双方の意図が噛み合い、中央が渋滞気味に。日本のパスはたびたび相手に引っ掛かります。さらに大野がボランチの位置に回り、4-3-3のような形になるなど若干チグハグな場面も。

↓そうこうするうちに、ドイツはアッサリ先制&追加点!


相手の前にいても、相手の後ろにいても、最終的に相手にボールを触らせる宇津木マジックが炸裂したな!

0-2は、ワールドカップなら諦めて寝たレベル!

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しかし、なでしこは強かった。0-2の劣勢も平然とした表情で受け止めます。そもそも0-2で落ち込む程度の気持ちなら女子サッカーなどやってられない…この一年で忘れかけていましたが、彼女たちはそんな苦労人。その上に、「国民の期待を背負う」という新たな強さも身につけたチームです。生活そのものを見直し、24時間国民栄誉賞として過ごしてきた一年は、彼女たちをさらにスケールアップさせていました。

前半35分には、相手DFの裏を取った川澄が、華麗な切り返しからカーブをかけた技ありゴールで1点差に。後半に入って、中央に田中明日菜を入れ、宮間をサイドに戻すとなでしこペースに転換。スタジオ解説の大竹七未さんが「簡単なイージーミスをなくすことが後半の課題!」と難しいイージーミスを犯すのを尻目に、後半10分には田中のゴールで同点に。この強さは素晴らしい。

惜しむらくはこの勢いに乗って、一気に逆転まで持ち込めなかったこと。まぁそれはテスト中ということで已むなしでしょう。後半頭の交代も、CBの入れ替え、SBの入れ替えという「バックアッパーとレギュラーとの連携テスト」を意図したもの。本気で勝ちに行くなら、もう少し別の形も検討されたでしょう。2点を追いついただけで十分です。そもそも2点取られないような形が大事なのですから。

↓後半43分からはドッタンバッタンのバカ試合に突入!


ドイツのスローイン

マークの受け渡しが上手くいかず、エリア内にスルッと侵入を許す

出遅れた有吉が、まだ中央にカバーがいるのに、不用意に相手に手を掛けてPK献上

ドイツ勝ち越し

バーグ則夫、願ってもない展開に「ボランチに高瀬投入でパワープレイ」のテストを開始

高瀬投入後のファーストプレイ

高瀬の展開から永里→大野→宮間→近賀→高瀬→近賀→川澄→高瀬と8本つないでゴール前にクロス

相手GKのこぼしたボールを永里が決めて日本同点!

その1分後、ドイツが日本ゴール前に放り込む

海堀飛び出すも間に合わず、再びドイツ勝ち越し

\(^o^)/

何だったんだよそれまでの90分wwwwww

本気出してからの展開が激しすぎwwwww

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優勝できなかったことで、各選手からは反省の弁も聞こえてきます。しかし、まぁあくまでも大本番はロンドン。ドイツとの戦いは、あのワールドカップでの勝利により終わっています。日本に負けたドイツは、そのせいで五輪に出られなくなったのですから。昨年から勝ちつづけてきた、走りつづけてきたなでしこJAPANです。この辺で厄落としもいいでしょう。バロン不在のテストモードでも、我々は世界最強クラスの国と真正面から打ち合える…新たな自信を手にロンドンに向かってほしいものですね。


そう言えば、我々は丸山カリーナも隠していたんだった!余裕ありすぎ!