ある日、息苦しさと動悸に襲われ「死んでしまう」と恐慌を来したRさん、47歳。心臓外科での検査は異常なし。しかしその後も発作は続き、不安のあまり外出できなくなった──。

 動悸や息切れ、気が遠くなるなどの身体感覚に対する破局的な恐怖と不安感が「パニック障害」の本態だ。性別にかかわらず、あらゆる年代で発症する可能性があり、中高年期に突発することも少なくはない。身体感覚に襲われるたびに「このまま死ぬのか」という恐怖で緊張が高まり、再発に怯えることでさらに不安感が募る。

 軽〜中等症ではパニック発作となんとか折り合いをつけ、一見普通に社会生活を営む人もいる。しかし「発作を避けるための生活」に費やす心労は並大抵ではない。過呼吸のパニック発作に耐えながら朝礼をこなす管理職や、文字どおり決死の覚悟で満員電車に乗り続ける会社員は珍しくない。

 パニック発作の治療では一般に抗うつ薬や抗不安薬が使われるが、再発率が高いことが難点。一方この数年、注目されている認知行動療法(CBT)は薬物療法に匹敵する治療効果を持つ。特筆すべきは、治療中止後の再発率が薬物療法の4〜9割に対し、CBTは2割以下と非常に有効である点だ。


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