英国ロンドン市郊外で2010年に開催されたオークションで、清代の乾隆帝時代(1735−1795年)に製作された壷(つぼ)を5300万ポンド(約71億9000万円)で落札した中国人が、4月3日になっても支払っていないことが分かった。中国新聞社が報じた。

 壷を出品したのは英国人男性で、父母が住んでいた部屋を整理していた際に、中国産らしい壷を見つけたという。オークション会社に持ち込んだところ、専門家が18世紀の乾隆帝時代の作品と鑑定した。出品したところ、予想の36倍の価格がついたという。

 落札したのは上海市の企業家とされるが、詳細は公表されていない。落札後4カ月が経過したのに支払いがないことについても、理由は未公開。

 2009年には、フランスで行われたオークションで円明園にあったネズミとウサギのブロンズ像頭部を落札した厦門(アモイ)心和芸術会社の蔡銘超社長が支払いを拒否した。

 英国では、清代の壷についても、「中国から不当に持ち去られた」と考え、オークションを妨害した可能性があるとの見方が出はじめた。

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◆解説◆ 円明園にあったネズミとウサギのブロンズ像のオークションについては、中国で大きな反発が発生した。

 1856年に勃発したアロー戦争で北京に侵入した英仏連合軍が円明園を破壊した際に、略奪されたとみなされたからだ。しかしその後に撮影された写真にも問題のブロンズ像は残っており、「英仏連合軍や関係者ではなく、中国人が金目当てで持ち去り、売り飛ばしたのだ可能性が濃厚」との指摘がある。(編集担当:如月隼人)



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