ジンバブエの刑務所内では、囚人が栄養不足のため弱りすぎ、立つ事も食事を口に運ぶ事も困難な状況にあるという事実が南アフリカのテレビ番組で放送された。ジンバブエでは「刑務所=拷問」というほど荒んだ状況だが、政府はそれどころではないようだ。


南アフリカのテレビ局が放送した番組"地獄の入り口(Hell Hole)"は、世界中に衝撃を与えた。
この番組では4ヶ月かけてジンバブエの刑務所内を内偵したもので、部屋には薄いマットとブランケットだけ、食事も非常に少なかったという。肋骨や骨盤が浮き出たガリガリの囚人や、力が出ないからなのか病気で弱っているからか、ゆっくりと食事を口に運んでいる囚人たちの姿が映し出された。

ジンバブエの弁護士によると、「ジンバブエの刑務所にいること自体が拷問」なのだそうだ。ジンバブエの急激なインフレや、基本物資の不足から、囚人たちへの供給が追いつかないことが一因だと言っている。刑務官たちが、囚人用の食事をブラックマーケットに流していることも原因だと指摘している。衛生面でも、刑務所内は基本的に医療設備もよくなく、囚人も収監前からコレラなどの病気を持っており、原因の追究は非常に難しい。
昨年には、ジンバブエの市民グループの指導者の一人が、エイズ治療が出来ず、たった4日間の収監だったにもかかわらず死亡したという。また、前野党政治家のロイ・ベネット氏は、1ヶ月間の収監中食事は1日1度のとうもろこしのお粥に塩水が配給されるだけだったと語った。氏の収監中に5人が死亡し、その遺体は1〜2日は放置されていたという。
ジンバブエ新連合政府はというと、国の再建に尽力しており、刑務所内までは手が回らないようだ。

"地獄の入り口(Hell Hole)"番組プロデューサーは「映像的証拠のない単なる噂だけでは人の心は動かせない。この番組をきっかけに、ジンバブエ新連合政府や世界中の人たちが動き出してくれることを願っている」と述べた。

(編集部:近藤仁美/From South Africa)

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