副業をしている人でも確定申告が必要!? 副業している人、必見の裏ワザも紹介(イラスト:『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください! 』)

副業解禁の流れに乗り、空いた時間を利用して副業を始めるサラリーマンが増えています。会社員の場合、なかなか自分で「確定申告」をする機会がないかもしれませんが、副業で稼ぎがある場合は確定申告を毎年きちんと行う必要があります。知らずに脱税してしまうとペナルティが課せられたり、会社にバレてクビになるリスクも……。
そこで今回、フリーランス初心者で漫画家の若林杏樹さんが、税理士の大河内薫さんに税金にまつわるあれこれを学んでいく様子を描いた『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』から、「副業に必要な税金の知識」についてご紹介します。

サラリーマンで副業をしている方も、原則、確定申告は必要です。本業以外でバリバリ稼いでいるのに無申告のままでいると、ある日突然、税務調査が来て多額のペナルティーが発生する場合があります。

税務署は個人の口座を確認する術がありますし、今の時代SNSを通じてすぐに本人を特定できるため、副業の脱税は簡単にバレると思っておいたほうがいいでしょう。「確定申告」と聞いただけでアレルギー反応を起こす方もいるかもしれませんが、副業でも確定申告をしたほうが得になるケースもあります。具体的に見ていきましょう。

「副業」で確定申告が必要な人

副業で確定申告が必要な人は、主に次の2種類です。

1. 副業のアルバイトで給料を受け取っている人
2. アルバイト以外で副業の所得が年間20万円を超える人

年間20万円というのはあくまで「所得」なので、売上から経費を引いた利益が20万円以下になる場合は確定申告の必要はありません。ただし、「住宅ローン控除や医療費控除の適用のために確定申告する」というように、副業と別の理由で確定申告する場合は、副業利益が20万円以下でも申告書への記載が必須です。

税務署の趣旨としては「副業利益20万円以下ならお互い大変だし申告はいりませんよ。でも別の用事で申告するなら、ついでに副業の数字も載せてくださいね」という感じです。


(『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください! 』より抜粋)

それからもう1つ誤解しやすいのが「住民税」についてです。副業利益が20万円以下で確定申告不要なのはあくまで「所得税」のお話です。

所得税の確定申告をすると、自動で市区町村役所に情報が回ります。そして役所が住民税を計算してくれます。理由はどうあれ、所得税の確定申告をしないと役所に情報が伝わらず、住民税が計算できません。副業利益20万円以下での住民税の申告不要制度はないので、別途役所に情報を伝えなければいけません。

つまり、副業利益20万円以下で所得税の確定申告が不要になっても、住民税の確定申告はする必要があるのです。レアケースなので多くの方が申告漏れしていますが、悪気がなくても税逃れ。注意が必要です。役所によって様式が違うので、住民税だけの確定申告をする時は最寄りの役所に問い合わせましょう。

確定申告をして得をする副業者


(『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください! 』より抜粋)

副業でも確定申告をすると得をするケースがあります。例えば、企業からの依頼で原稿の執筆やイラストを描くお仕事をしている場合です。報酬総額からあらかじめ10.21%の所得税が天引きされた状態(源泉徴収された状態)で報酬が振り込まれます。のちに経費などを計上して確定申告をした結果、この天引きされた10.21%が払い過ぎの場合は、税務署から還付されるのです。

また、副業で稼いだ収入よりもかかった経費のほうが多く、残念ながら赤字になってしまったという場合は、会社の給与所得と相殺して控除を受けることができます。

ただしこれは副業を「事業所得」として申請した場合のお話で、「雑所得」の場合は相殺することができません。どんな副業でも事業所得として申請できるかというとそうではなく、認められるためには、継続的に事業をしているか?などのいろいろな条件があります。

著述家や作家以外の人が受け取る原稿料や印税、講演料などは「雑所得」に分類されることがあります。サラリーマンが空いた時間や休日などを利用して片手間で行う副業については、「雑所得」と判断されるケース多いです。

副業が会社にバレない裏ワザ


(『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』より抜粋)

時代が副業解禁の流れにあるといっても、まだまだ「副業禁止」をうたっている企業もたくさんあります。会社に内緒で副業をしている方も多いでしょう。バレないためにはどんなことに気をつければいいでしょうか?

会社に副業のことがバレてしまう原因として、キーポイントなるのは「住民税」です。副業の所得に対しても住民税が課税されますが、何も気にせず副業の確定申告をすると、お給料に対する住民税と副業に対する住民税を合算した税額が会社に通知されます。すると「給料に対して住民税が高すぎる。さては副業をしているのでは?」となって、バレてしまうというわけです。

住民税の納付を「副業」と「本業」で分ける

それを防ぐためには、副業の稼ぎ分を確定申告する際、「給料から差引き」ではなく「自分で納付」の欄にチェックする必要があります。


(『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください! 』より抜粋)

ただし、この欄は結構見落とされがちです。絶対にバレたくない人は、確定申告書を提出した後に市区町村役所に確認しましょう。


所得税の確定申告書を提出した旨、役所に情報が伝わっているのを確認し、住民税の納付書を何としても副業と本業で分けてほしいとお願いするのです。とてもアナログな方法ですが、確率を高めるためにはこれしかありません。

しかし、それでもダメなときがあります。役所が忘れたり、確定申告書の内容によっては分けられないものもあったりします。

だから100%副業がバレない方法はありません。副業を始める際には、「バレたら転職や脱サラしてやる」くらいの覚悟を持ってやるほうがうまくいくだろうなぁと個人的には思います。