ジュビロ磐田の名波監督【写真:Noriko NAGANO】

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名波監督がベテランの存在に言及 「チームビルディングをするうえで力になる」

 昨季のJ1リーグで残留争いに巻き込まれ、昇格プレーオフの末に残留を勝ち取ったのがジュビロ磐田だった。

 チームを率いる名波浩監督は14日に東京都内で開催された2019Jリーグキックオフカンファレンスに参加し、「チームビルディングをするうえでは、ベテランの経験が力になる」と、FW大久保嘉人やMF中村俊輔といった日本代表でも活躍してきた選手たちが所属する意義を強調している。

 磐田は昨季に苦しいシーズンを送った。名波監督はJリーグについて「一貫性のあるチームが上にいく。こういうサッカーをする、こういうメンバーでやっていくという一貫性が必要だと思う。ジュビロは1回それがバラけてしまったことがあったから、それを修正し直して再スタートを切ったところ」と、まだ2000年代前半の黄金期を取り戻すなかでの道半ばであるとしている。

 そうしたなかで、磐田の強みの一つと言えるのが、中村や大久保といった経験のある選手がチームに所属することだ。名波監督は、チーム内での競争という意味では同列だとしながらも、その特別な役割があることを話している。

「間違いなく、チームビルディングをするうえではベテランの経験が力になるし、それを伝える作業でクラブ力が上がる。彼らのやる仕事はピッチの上以外のことも生まれてきてしまうけれども、キャリアも年齢も関係なくピッチに立てるのは調子の良い選手と伝えている。みんな、それに向けて努力してくれている」

「強者ジュビロ」の復活へ 「弱者の我々がどうやって勝つか。それが醍醐味」

 現時点での仕上がりを名波監督は「攻撃のところを触りましたが、素晴らしい答えが今の時点で出ているわけではなく試行錯誤。シーズンに入ってから肉付けをしなければいけない、導入部分というところ」と言及。それでも「明確な目標は設定したが、それは選手にしか伝えていない」と不敵な笑みを浮かべた。

 新シーズンに向けて、ヴィッセル神戸に元スペイン代表FWダビド・ビジャが加入し、川崎フロンターレにはロンドン五輪でブラジル代表として得点王を獲得したFWレアンドロ・ダミアンが加入した。そうした流れを「リーグの活性化としては良いこと」と話す一方で、簡単に勝利を譲る気はない。

「弱者の我々がどうやって勝つか。それがサッカーのみならずスポーツの醍醐味。それは目指すことの一つなのでね」

 黄金期にチームの中心として数々のタイトルを獲得した指揮官は、あえて「弱者」と表現した。2014年の秋から古巣の再建に向けて戦いを続ける元ゲームメーカーであり現指揮官は、今季のJリーグの中で「強者ジュビロ」の復活を印象づけるような戦いを見せられるだろうか。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)