クルマの使用目的によってはファブリックシートに軍配が上がる

 高級感があり、肌触りの良さと風合い、使い込んでいくほどに味が出てくるのが本革シートの魅力。そんな本革シートにあこがれる人も多いだろうが、高価な本革シートにもデメリットはあるのだろうか?

 まず、ファブリック(布)に比べコストが高いというのは、短所のひとつ。素材自体が高いので、本革に魅力を感じなければ、予算は別に使いたくなる。

 もうひとつは、表面が比較的滑りやすいところ。街中や、高速道路を巡行しているだけなら気にならないが、ワインディングなどをいいペースで走ろうとすると、横Gなどの影響で、お尻や腰、背中が少〜しずれそうになって落ち着かない……。形状にもよるが、ホールド性はファブリックの方がやや有利だ。

 また、真冬の時期はシートに座った瞬間、ファブリックよりひんやり冷たく感じる傾向がある。夏場は夏場でシートと密着している部分が、蒸れて熱く感じることも。ただ、冬のシートの冷たさは、シートヒーターがあれば暖かくできるし、夏の暑さも、シートベンチレーション機能があれば、シートと身体が触れる部分の熱気を吸い出して、快適な運転環境をキープできる。

モノによっては衣服の色がシートに移ってしまうことも!

 あとは色移りの問題。ベージュ、タンなどの淡色の本革シートに、ブルーの濃い新品のGパンで座ったりすると、Gパンのインディコブルーが白いシートに移ってしまったということはときどきある。

 反対に、シートの本革のクオリティが低いと、シートの色が白い着物などに移ってしまったという事案も……。そういう意味で、シートあるいは衣類が新品であるうちは、色移りに注意を配る必要がある。

 あとは耐久性も高く、熱にも強く、撥水性も非常に高い。傷や擦れへの耐性も強く、ファブリックより誇りを溜めないので衛生的。静電気も起こりにくいなど、本革には本革のメリットもある。

 本革独自の匂いについては、好みが分かれるところだが、シートの素材も長所と短所をよく知ったうえで、チョイスしよう。