100万円超えも納得の金属製「戦車」！ 実車3Dデータからパーツを鋳造・削り出し、手作業で再現する妥協を許さない巧みの世界
子どもから大人まで、老若男女を問わず広く愛されている。
しかし、模型の世界には、常人に派踏み込めないディープな世界もある。
なんと、100万円超えは当たり前という金属製の戦車模型の世界だ。
■鋳造と削り出しによる金属製の戦車モデル
実物の戦車や装甲車は、重厚な質感が魅力だ。
しかし、プラスチック製の模型では、なかなか実際の重厚感や質感を表現できない。
そこで、海外の玩具メーカー「WARSLUG」が実物同様に金属を使った模型を製造した。
日本での輸入販売元は、株式会社ホビージャパンだ。
主要部品は、
・実車同様の鋳造技術を採用
・部品の一部は削り出しで成形
しかも、成型後に人の手で細かい研削を施して細部までも再現しているという。
特長は、
・実測データによるモデリング
・正確な比率
・実物通りの構造
モデリングデータは、博物館にある実際の戦車（実車原型）を3Dスキャンしている。
こうして取得した実測データを元に、戦車の履帯から防楯の素材、さらには誘導輪に刻印されている製造コードまで、細部にまで厳密に再現しているという。
正確な比率にこだわりでは、プレートの正確な比率を計測し、車体の複雑なネジ構造まで、歴史的事実を尊重しながら博物館の実車原型に基づいて再現している。
実物通りの構造を再現しているのも驚きだ。
博物館の実車データから、車体部品点数を確保し、可能な限り実車に近づけているという。
スタッフは、
「製品の見た目ではなく、正確さを重視し、1センチ、1ミリにこだわって製作しており、少しの妥協も許しません。」とのこと。
細かいパーツが多くなるが、当然、すべて手作業で制作を行っているそう。
「これだけ精密なモデルなら、実際に動くのでは？」と思って聞いてみた。
スタッフによると、
「元々はスマホで動くリモコン戦車でした。しかし日本での規制もあるため、中身をのぞきました。」
とのこと。
実際に動くところを見られないのは実に残念だ。
展示されていた「1/6スケールキングタイガー ヘンシェル砲塔型（ドイツ軍）」は、
中身は空洞ではあるが、なんと人をのせて後ろから押して動かすことが可能とのこと。
強度と精巧さには、驚くばかりだ。
■1/6スケールキングタイガー ヘンシェル砲塔型（ドイツ軍）
実車のキングタイガーは、世界で489台しか生産されていない。
しかも、多くの戦車が戦争で失われている。それだけに貴重な戦車なのだ。
実車の生産コンセプトを復元するため、キングタイガー工場の生産基準に基づき、全世界限定数量で販売しているとのこと。
・ディスプレイモデル￥1,900,000（税別）
・製品サイズ：全長 1,710mm×車高 515mm×車幅 610mm
・重量：200kg
・総部品数：7,500点以上
一番大きなモデルが「1/6スケールキングタイガー ヘンシェル砲塔型（ドイツ軍）」だ
後ろから見た「1/6スケールキングタイガー ヘンシェル砲塔型（ドイツ軍）」
キャタピラまで精密に作られている。手で軽く押すだけで、戦車を進めることができる
実車を忠実に再現していることもあり、細部まで稼働可能だ
背面から見た「1/6スケールキングタイガー ヘンシェル砲塔型（ドイツ軍）」
■1/6スケール九四式軽装甲車（大日本帝国陸軍）
通称「TK」の異名を持つ装甲車だ。
北京坦克博物館まで出向き、唯一無二の実車を3Dスキャンしてデータを計測したそう。
開発には4ヶ月の時間を要したが、再現することに成功したそうだ。
・ディスプレイモデル￥620,000（税別）
・製品サイズ：全長 513.3mm×車高 270mm×車幅 270mm
・重量 11.6kg
・総部品数：3,570点以上
左斜め前から見た「1/6スケール九四式軽装甲車（大日本帝国陸軍）」
右斜め後ろから見た「1/6スケール九四式軽装甲車（大日本帝国陸軍）」
「1/6スケール九四式軽装甲車（大日本帝国陸軍）」の砲台
■1/6スケールルノー FT-17（フランス軍）
フランスのルノー (Renault S.A.)で開発された軽戦車だ。
ボービントン戦車博物館にある機銃装備型から採取されたデータに基づいて忠実に再現されている。
・ディスプレイモデル￥830,000（税別）
・製品サイズ：全長 830mm×車高 350mm×車幅 290mm
・重量：21.7kg
・総部品数：4,780点以上
右斜め前から見た「1/6スケールルノー FT-17（フランス軍）」
左斜め前から見た「1/6スケールルノー FT-17（フランス軍）」
「1/6スケールルノー FT-17（フランス軍）」のキャタピラ
ITライフハック 関口哲司
