ノートPCにステッカーを貼るのはセキュリティ的に危険と研究者が指摘
By Steven Cooper
カフェなどで時間を過ごしていると、お気に入りのブランドやメディアのロゴがプリントされたステッカーを貼ったノートPCを使って作業をしている人を見かけることがあります。自分だけのカスタマイズとしてドレスアップすることは決して悪いことではありませんが、一方ではセキュリティ上のリスクを含む行為であることを考えるべきであるとセキュリティ専門家が警鐘を鳴らしています。
https://motherboard.vice.com/en_us/article/pawvnk/stickers-on-laptop-operational-security-bad-idea
ステッカーによるリスクを指摘しているのは、活動グループ「Tactical Tech」でセキュリティに関する取り組みを行っているマット・ミッチェル氏。「会議の場や税関、空港、公共の場所などにおいてステッカーを貼っていることは、あなたを敵対的調査や産業スパイ、法的な監視などのターゲットにしてしまう可能性があります」と述べるミッチェル氏は、人々がステッカーを貼ることの功罪について認識することを促しています。
一例としてミッチェル氏は、政治的なメッセージを含むステッカーを貼る行為を挙げています。特定の主義主張を色濃くあらわすステッカーを貼って人々に見せるようにすることはそれだけで外部から疑念を抱かれてマークの対象になるリスクを生じさせます。事実、ミッチェル氏の友人のハッカーは、そのようなステッカーが原因で取り調べを受けることになり、飛行機に乗れなかったことがあったそうです。
また、政治的な内容ではなくとも、ステッカーは「その人物が誰であるか」を示すものになってしまうというリスクも存在します。ミッチェル氏は2018年8月に開催されたセキュリティ関連のカンファレンス「DEF CON」に参加したのですが、会場に集まっていた参加者の多くが持ち込んでいたのは、GoogleのChrome Bookのような端末だったとのこと。データをクラウドに保管するデバイスを使うことで、盗難時にデータが流出することを避けるというセキュリティ対策としては評価できる行為ではあるものの、やはり特定のメディア名などが記されたステッカーを貼ることは、悪意をもつ人物に対するある種の「サイン」になる可能性があるといいます。
By Doug Belshaw
参加者の中には、自身が所属するメディアのロゴステッカーを大々的に貼り付けている人物もいたとのこと。一般の参加者ならまだしも、普段からメディアの一員として活動している人物のデバイスには、取材などで得られた外部には出していない情報が多く含まれることもよくあります。たとえパスワードなどで保護されていたとしても、「私は〇〇で記事を書いているライターです」と周りに知らせながら歩いているような行為は、セキュリティの面からすれば余り好ましくはないというのがミッチェル氏の指摘です。
一方で興味深いのが、「ステッカーが貼られているデバイスは盗まれにくい」という事実があることです。Torネットワークに関わっているモリッツ・バートル氏は以前、車上荒らしに遭って金品を盗まれてしまったことがあるのですが、その時に唯一残されていたのが、ステッカーが貼りまくられていたノートPCだったとのこと。警察によると、ステッカーだらけのノートPCを見た泥棒が「こんなPCは金にならない」と判断して現場に残したと考えられるとのことで、一定の犯罪抑止力としても大量のステッカーが抗力を発揮するというのは注目すべき点であるといえるのかも。
とはいえ、それはあくまで「珍しい例」であって、総合的にみるとステッカーでドレスアップすることは一定のリスクを伴うことを理解すべきであるとミッチェル氏は警鐘を鳴らしています。
By David Sundah