遠藤と記者会見に出席した槙野。日の丸には「暴れます」と力強く記した。写真:塚越始

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 ワールドカップの日本代表メンバーに選ばれた浦和レッズ槙野智章と遠藤航が5月31日、埼玉スタジアムで記者会見を行なった。そのなかで「30代」という年齢について聞かれた槙野は、「サッカーは年齢ではない。年を重ねるごとにサッカーが好きになっている」と強調した。

 31歳にしてのワールドカップ日本代表への初選出。2010年、14年と代表に選ばれながら落選してきたが、「この8年間苦しい時間を過ごしてきた。どうすれば最後の最後に自分の名前が呼ばれるのか、すごく自分を責め、どうすれば周りの選手に勝てるのか、日の丸を背負って世界の舞台で戦えるのか、そのことを念頭に置いて時間を割いて毎日努力してきました」と明かした。

 そして槙野は次のように熱く語った。

「サッカーは年齢ではない。そう思っています。三浦知良選手が現役で、なぜあそこまでできているのかというと、僕もそうですけれど、一つひとつ年を重ねて、まだまだサッカーを上手くなりたいと思っているし、年を重ねるごとにサッカーが好きになっていっています。年齢で運動量が落ちたとか、技術が落ちたとか、ハートが落ちたと言われるのが一番情けないというか、嫌なこと。だから30歳になってからが勝負だと思ってきました」

 周りの選手がいるからこそ、自分も成長できている。そう実感してきたという。
 
「一番脂に乗ったいい歳だと思っています。逆に若い選手から刺激をもらいながら前へ進めている。今、代表選手の立場ですが、若い選手や上手い選手からたくさん刺激をもらい、自分のことをしっかり理解したうえで、練習を重ねてきました」

 そして槙野は自身のことを客観的に見つめながら、日々、取り組んできたという。

「自分のことを天才肌だとは思っていません。だから天才肌の選手に勝るには、何倍も何十倍も努力しないと勝てないし、いっぱい練習をしないといけない。いっぱいサッカーのことを考えないといけない。そういう天才肌の選手たちと天秤にかけたときに、自分は何が勝るのか、自己分析ができているからだと感じています」
 
 2度の”落選”から学んだのは、「自己の強みを出すこと」だったという。

「以前はDFでありながらゴールも狙う『DFW』と自分で呼んできたが、そのようなプレーをしていては、監督からみると、どこで起用すればいいのかが分からない。ポリバレントという言葉はぴったりかもしれないが、一つのポジションの強みという部分では、常に2番手、3番手になってしまう。それが落選の理由であり、強みを出さないといけないという気持ちに変わってきました」

 そして日本代表のハリルホジッチ前監督、浦和のペトロヴィッチ元監督との出会いが、転機になったという。
 
「新しいDF像を教えていただき、守備に対して徹底的に時間を割いてトレーニングし、心掛けてきたのがボールを奪いにいく守備でした。自分からアクションを起こしてボールを奪いにいくプレーを心掛けて、そこで評価され、ハリルホジッチ監督から『なかなか日本にはいないDFだ』と言ってもらえるようになりました。それが自信につながり、今のプレーにつながっています」

 3バックと4バックを併用する西野朗監督の戦術でも、槙野の「強み」は生かされるはず。槙野はワールドカップの舞台で、さらに飛躍を遂げるか。

取材・文:塚越 始