心無い窃盗犯に義足を盗まれた女性(画像は『Metro 2018年5月18日付「Total scumbags steal woman’s leg while she’s swimming in a river」(Picture: Backgrid)』のスクリーンショット)

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手足を欠損した障がい者にとって、義手や義足は何よりも大切なものだろう。しかしこのほど、カスタマイズされた大切な義足が何者かに盗まれるという事件がイギリスで起こった。被害者の女性は「どうか返してほしい」と訴えている。英メディア『BBC News』『Metro』『Gazette Live』などが伝えた。

5月14日の午後5時半頃、英ストックトン=オン=ティーズにある「プレストンパーク」のティーズ川で水泳を楽しんでいたケイト・サンリーさん(51歳)の義足が何者かに盗まれた。

ケイトさんは1983年の事故で膝に深刻な問題を抱えてきたが、1993年に切断し義足生活となった。水泳を始めたのは今から6年半ほど前だったが、ケイトさんにとって水泳は人生で最も大切なものとなった。

「水中にいる時は、私は片脚の人間ではなく他の人と同じような気持ちになって自由を味わえるのです。水中で義足なしで泳ぐことが、どれほど私にとって大切かということは言葉で表すことができません。この10年間、様々な手術を受けて多くの神経も損傷しました。でも多くの人たちに支えられて、ここまで乗り越えて来ることができたのです。義足は私にとって人生で必要不可欠なものなのです。」

水泳に生きがいを感じるようになったケイトさんは、International Ice Swimming Association(国際寒中水泳協会)でもその存在を知られるところとなっている。摂氏5度以下の水中を1.6キロ泳ぐIce Mile(アイス・マイル)というレースでは、女性障がい者のスイマーとして世界で初めて完泳した。14日も、ケイトさんは水泳仲間たちと一緒にティーズ川で泳ぎを楽しんでいた。

1時間ほどして戻ってくると、ケイトさんは桟橋に置いてあった義足が盗まれていることに気付いた。ケイトさんは他の義足も持っているが、盗まれた“Pogo(ポゴ)”というニックネームがつけられた防水加工仕様の軽量の義足は2,000ポンド(約30万円)をかけて作られ、シャワーも浴びられるという便利なものだった。新しい義足をカスタムメイドでオーダーするには、6週間もの日数がかかるという。

「その間、私は検査に何度も出向かなければなりません。あの義足なしでは私は水泳のできる場所に行くことができないからです。盗まれた時はショックでパニックになりました。新しい義足をオーダーするのにNHS(英国民保健サービス)だって費用がかかります。あの地域には頻繁に集まっていた若者グループがいるから、ひょっとして彼らがイタズラで義足を川へ投げ落としたり、持ち去ったのかもしれません。大切な義足を盗まれた気持ちをどう表現していいかわかりませんが、とにかく返してほしい。誰かが悪意を持って盗んだとは考えたくないのです。」

ソーシャルメディアでもこの情報がシェアされると、ケイトさんへの励ましやサポートの声が寄せられた。一方で心無い犯人に対する怒りの声も相次いでいるようだ。クリーブランド警察は、この日午後7時40分に通報を受けたことを明かしており、今も犯人の情報提供を呼びかけている。

画像は『Metro 2018年5月18日付「Total scumbags steal woman’s leg while she’s swimming in a river」(Picture: Backgrid)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)