――9月は豪ドル/円で豪ドル高が進んだが、10月は?
 
 6-7月以降の動きは、ドルも円も安くその他通貨が高いという流れに沿った豪ドル高だった。足元ではドルが強くなり始めており、豪ドル高のピッチは鈍りそうだ。さすがに、1豪ドル=90円に乗せてからは値動きが鈍ってくると思う。今後は、豪ドル/米ドルでの豪ドル安・米ドル高の動きに押されて、豪ドル/円の上値が重くなる場面が増えるだろう。

 RBA(豪準備銀行)の政策スタンスは慎重な姿勢で、いずれは利上げすることを視野に入れつつ中立というものだ。現在、市場では来年4月-6月の利上げを織り込みつつある。こうした見方が、今後の市場を動かす要因の一つになりそうだ。今月25日に第3四半期のCPI(消費者物価指数)が発表されるが、この数値が強いものであれば、11月初旬のRBA理事会で利上げに関する話題が出てくることも考えられる。ただ、第2四半期のCPIは前年比+1.9%であり、RBAのインフレ目標(2.0〜3.0%)に届いていない。第3四半期のCPIが多少上ぶれしても、一気に利上げ機運が高まる事は考えにくい。

 こうした事もあって、当面は1豪ドル=91円を超えて豪ドル高が進む可能性は低いとみる。下値は86円が固いだろう。

――その他、注目の通貨ペアは?

 10月はユーロ/ドルの動きに注目している。9月に一時1ユーロ=1.20ドル台に乗せたが、その後は失速気味に1.17ドル台へと反落しており、年初から続くユーロの上昇トレンドに陰りが見え始めた。ユーロ高の背景にあった「量的金融緩和の縮小計画」が今月26日のECB理事会で具体化することで「材料出尽くし」となって反落する可能性もあるとみている。

 今後、ドル高に通じるような材料が米国サイドから出てくると、1ユーロ=1.15ドル割れということもあり得ると思う。