怪我をした3歳児に救急車は駆け付けることなく(出典:http://www.cambridge-news.co.uk)

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幼い我が子が怪我をしてかなり血を流せば、普通の親ならば冷静でいられるはずはない。一刻も早い処置を望んで救急車を要請する人もいるだろう。ところが「金曜の夜だから」と救急車を拒否されてしまったら…。このほどイギリスに住む母子が、そのような目に遭ったことを英『Cambridge News』など複数メディアが伝えている。

ケンブリッジシャー州ウィリングハムに住むキーラ・オリバーさん(31歳)は4月28日、長男ジョシュア君(13歳)と次男トリスタン君(3歳)と共に自身の勤務先である社交クラブにいた。

午後7時45分頃のこと、スクーターに乗って遊んでいたトリスタン君は転倒して顎を切る怪我をした。その傷は深く血が止まらなかったためキーラさんはすぐに緊急通報し、救急車を要請した。

オペレーターは当初「そちらに(救急車を)向かわせる」と伝えたが、その後キーラさんに電話をかけて救急車は来ない旨を告げた。驚いたキーラさんは「息子が出血で意識を失ったんですよ。血も止まらないし救急車が必要なんです」と訴えると、オペレーターは「奥さん、理解してください。今日は金曜の夜ですよ」と言い放ったという。

キーラさんは「それが何の関係があるんですか?」とオペレーターに怒鳴り、救急車を拒否されたショックでパニックに陥り喘息の発作を起こした。なんとか母親のアニータさん(53歳)に連絡し、アニータさんは車でトリスタン君とキーラさんを連れてハンティンドンにあるヒンチングブルック病院のA&E(緊急治療室)に向かっている。車の中でトリスタン君は再び意識を失い、キーラさんは息子の容態が気が気でなかった。

しかし病院へ到着したキーラさんたちは2時間以上も待たされ、発作を起こしていたキーラさんが最初に診察される結果になってしまった。キーラさんは「息子を診察して」と伝えたものの、医師ではなく小児看護師がトリスタン君の治療をしただけだった。さらに翌日、トリスタン君は傷の縫合のために再度病院を訪れなければならなかったそうだ。

幸いにもトリスタン君の回復は早く、「ママ、痛いけどもう血が出ていないよ」と言うほどの元気さを見せたという。キーラさんは、緊急サービスに対してこのように不満を露わにしている。

「緊急通報のサービスが良ければ、息子はもっと早くに診てもらえたはずです。オペレーターの口調からは、金曜の夜だから街で酔っ払った人たちのために救急車を送ることが先決で、息子の酷い傷にはおかまいなしといった印象を受けました。」

キーラさんはオペレーターの対応に苦情を言うべく電話したが、繋がることはなかったそうだ。この件に関し、East of England Ambulance Serviceのスポークスマンは「キーラさんから救急車の要請を受けたのは事実です。怪我が命に関わるほどではないと判断し、救急車の出動を断りました。キーラさんとはオペレーターが電話を通してトリスタン君の状況を確認し、家族が自らA&Eへ連れて行くことに同意したので、オペレーターはトリスタン君の容態が悪化すれば、再度999に連絡するようにと伝えたようです」と述べた。

この日は、ケンブリッジシャー州だけで400件もの緊急通報があり、そのうち命の危機に瀕していた通報は144件にも上ったそうだ。

また、トリスタン君が診察を受けたヒンチングブルック病院を運営するノースウエスト・アングリアNHS財団信託(North West Anglia NHS Foundation Trust)のスポークスマンは、「金曜の夜は時間帯に関係なくA&Eは多忙を極めます。通常よりも待ち時間がかかることをご了承頂きたい。ですが、NHS Englandにより指定されている4時間以内という枠で、できるだけ早く全ての患者を診るようには心がけています」と話している。

出典:http://www.cambridge-news.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)