東京大学の研究グループは2017年3月28日、農業生物資源研究所と共同で、コメの開花・収穫時期を自由に選ぶことができる、画期的なイネの品種を開発したと発表した。野外試験場での実証実験に成功した。

これまで、イネの品種はすべて田植日や気温、日長といった栽培・気象環境に影響されて開花・収穫時期が決まり、人間の力で調節することは不可能だったが、この技術で、栽培者の都合に合わせて収穫できるようになる。

特定の農薬をかけると開花のスイッチが入る

東京大学の発表資料によると、植物は栽培を続けると、最後は花が咲くように遺伝的に運命づけられている。イネの場合は花が咲いた後に実(コメ)がなる。開花時期を調節できれば、コメの収穫時期を選ぶことが可能になる。そこで、研究グループは、まず遺伝子操作によって花芽を抑えられ、花が咲かないイネを作った。

そのうえで、特定の農薬を処理した時にだけ開花する別のイネを作った。そして、両者の遺伝子を導入しあい、特定の農薬をかけると花芽の生育のスイッチが入り、約40〜45日で開花するイネを作り出した。この技術によって、農薬をかける時期を決めればコメの収穫時期を選ぶことが可能になるわけだ。

研究チームは、発表資料の中で、「遠くない将来にこの技術が実用化されれば、栽培者が望む時期にコメを収穫することが可能になります。また、栽培地域の気候に応じて栽培するシステムを実現することができるので、生産性や品質の向上が期待されます」とコメントしている。