チーム作りの初期段階では、中村俊輔、遠藤保仁、中村憲剛の3人のプレーメーカーを同時に起用し、ボールをしっかりと保持して主導権を握れるチームを目指した。こうしてチームのベースが築かれると、今度は松井大輔や大久保嘉人ら仕掛けられるアタッカーを加え、チームを進化させていった。
 
「ヨーロッパでプレーする選手たちを頻繁に帰国させれば疲弊してしまうし、クラブでポジションを失ってしまう」と、欧州組の招集にも慎重で、国内組でチームのベースを築いていた。そうしたスタンスも好感が持てた理由だった。
 
 むろん、ハリルホジッチ監督にとって、欧州組の多くが所属クラブでこれほど試合に出られなくなることは、誤算以外の何物でもなかっただろう。加えて、試合2日前にならなければ招集選手全員が揃わないから戦術練習に割く時間もなかなか持てなかった。
 
 そこで、重要なのが11月11日のオマーン戦だ。
 
 久しぶりに迎える親善試合でハリルホジッチ監督はどんなメンバーをチョイスし、どのようなプランを練り、どういったテストを行なうのか。サウジアラビア戦に向けただけでなく、チームの未来像のヒントとなるものがそこにあるのかどうか、しっかりと見極めたい。
 
文:飯尾篤史(スポーツライター)