『赤の呪縛』(堂場 瞬一) これは青春小説ではないか――読了後、そう感じた。 本書の主人公である滝上亮司は三十六歳。青春というにはかなり年齢を重ねてしまってはいるが、父親に反発し、地元から逃げるように上京してきた彼が、父親を中心とする故郷と再び対決する姿はまさしく、二十年遅れの青春まっただ中にあり、反抗期をずっと続けているようにも思える。 滝上の青春が歪んでしまったのは、本人自身の