驚かされることの多かった一年だった。7月には今上天皇が「生前退位」の意向を示したと報じられ、一時は宮内庁が否定したものの、8月8日にビデオメッセージという形で天皇の「お気持ち」が伝えられた。さらにそれから1週間もしないうちに、今度はSMAPが解散するというニュースが飛び込んできた。この2つのできごとを受けて私はふと、ちょうど60年前の1956年に書かれた『孤獨の人』という小説のことを思い出した。藤島泰輔(19