バイプレーヤーのみなさんの素顔がまたカッコイイんです。

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ドラマを観るかどうか考えるとき、何を基準にしていますか。

テレビ離れが叫ばれるいま、ドラマも主演俳優の名前だけでは視聴率がなかなかとれない一方で、「一度観てみようかな」と思う基準に、脚本家や脇役陣を挙げる人も少なくないのではないだろうか。
確かな力のある役者が脇を固めるドラマは、それだけで物語に奥行が出て、信頼感が増すケースが多いからだ。

そんな味のある「名脇役」にスポットをあてたムックが、2月13日に発売された。その名も『バイプレーヤー読本』(洋泉社/本体1400円)だ。
実は編集・ライターとして私も参加させていただいたのだが、きっかけは『半沢直樹』や『あまちゃん』などをはじめとして、近年のヒットドラマには名脇役が多数出演しているのが気になったこと。
そこで、ドラマ好き編集者が集まり、打ち合わせをすると、こんなやりとりが……。

「あの人、いろんなドラマで見るよね。なんていう役者さんだっけ? 」
「〇〇さんもいま、引っ張りだこだけど、何の作品がきっかけだったんだろう」
「あの人もよく見るよね! ほら、△△とか、□□に出てた人!」

売れっ子の実力派バイプレーヤーたちの場合、「テレビで顔はよく見るけど、役名しか知らない」「顔も名前もよく知ってるけど、素顔はどんな人なのか知らない」「何がきっかけでブレイクしたか知らない」ということが多々あるのだ。
そのため、本書では、気になるバイプレーヤーの方々にロングインタビューを行い、役者になったきっかけや転機になった作品、これまでの人生についてじっくり伺った。

インタビューにご登場いただいたのは、戸次重幸さん、手塚とおるさん、佐藤二朗さん、小市慢太郎さん、川原和久さん、眞島秀和さん、山中崇さん、大倉孝二さん、緋田康人さん、津田寛治さん(掲載順)。
実際にお会いしてみると、ダンディで渋い雰囲気の役者が、普段はやわらかな関西弁で話す笑顔の可愛い人だったり、濃いキャラを演じる役者が実に論理的思考の人だったり、サービス精神旺盛だったり、意外な経歴を経ていたり……と、まさに十人十色。

さらに面白いのは、それぞれの役者のルーツとなった劇団や過去の作品・交友関係などを探っていくと、さまざまなところで重なりやつながりが見えてくることだ。
再放送ドラマや昔の映画などを観ていると、「あ、当時は知らなかったけど、この作品に、こんな人も出ていたんだ!」と気づく瞬間があり、嬉しくなることがある。本書では、そんな「実はこの人も!」「この作品も!」という結びつき・つながりも満載。ルーツやつながりを知ってみると、改めて作品を見直してみたくなるのではないかと思う。

ドラマや映画を観る目が、ちょっと変わる1冊。映画好き・ドラマ好きの方は、ぜひご一読ください。
(田幸和歌子)