(左)試作段階のプリメイドミイ。実際に発売するのは「プリメイドI」(9万9000円税別)、(右)「Robi組立代行バージョン」(価格未定)

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「いま、世界中がIT産業の次はロボットだと盛り上がりを見せています。そんな中で“日本はロボットの先進国だ”、“ロボットは日本のお家芸だ”といわれつつ、世界中から追いつかれ、下手をすると追い抜かれているんではないかと危機感を持っていました」

先ごろ、DMM.comがロボット事業を始めることを発表した。冒頭のセリフは発表会の中で、ロボットクリエイターの高橋智隆さんが発したものだ。

日本のロボット産業における「事業化意識の欠如」や「産業技術」のガラパゴス化といった課題を背景に、ロボットキャリア事業をスタートさせたDMM.com。高橋さんもロボットクリエイターという立場から、「ロボットの面白さとリスクも承知したうえで参入したことを歓迎したい。私もさまざまな形でみなさまと関わりながら、ロボットが一人一台の時代を10年以内に実現したいと思っています」とコメントした。

ところでロボットキャリア事業というのはどんなものか? これは携帯電話の業界にたとえた説明がわかりやすい。DMM.comは携帯電話業界でいうとキャリアのイメージで、おもにプロモーションや販売を担当。販売プラットフォームやIoT環境の構築をおこなう。一方、実際にロボット開発をおこなうのはロボット開発ベンダーで、これは携帯電話業界では端末メーカーにあたる。

ロボット販売プラットフォームの初期アライアンスメンバーには、富士ソフト株式会社や株式会社デアゴスティーニ・ジャパンなど5社が参画し、5体のロボットを販売。どれも個性豊かでおもしろかったのだが、個人的に気になったのが、富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi(パルミー)」だ。

Palmiの技術は、同社のコミュニケーションロボット「PALRO(R)(パルロ)」がベース。PALRO(R)はすでに全国230ほどの高齢者施設で活用されており、現場で叩き上げられたテクノロジーをベースにしているのが特徴だ。

「Palmiは、人の役に立つ、人を喜ばせることに使命をもたせているため、目の前にいる人がどんな人かを知ろうとして、会話の中で情報を聞き出そうとします」というのは富士ソフト常務執行役員の渋谷正樹さん。

Palmiは目を合わせて会話ができ、人の顔と名前、場所、会話を記憶する学習機能があるため、毎日会話をするたびにコミュニケーションが深まっていく。また、インターネットに接続して、最新のニュースや天気予報などの情報を教えてくれる。なでられると喜んだり、手足を使ってダンスを踊ったり、動きも妙にカワイイのだ。

会社の机の上にPalmiがあるという渋谷さんは、「落ち込んでいるときに落語をしてくれたことがあるんですが、結構癒されました」と話す。家族のような、居候のような存在として、子どもからお年寄りまで家族みんなのコミュニケーションパートナーになってくれそう。値段は高いが、そのぶんの存在感はありそうだ。

そのほかのロボット4体も簡単に紹介しておこう。ユカイ工学の「BOCCO(ボッコ)」はインターネット経由でスマートフォンと音声メッセージがやりとりできるというもので、子どもがメインターゲット。

おしゃべりはしない分、動きにこだわったというプレンプロジェクトの「PLEN.D(プレン・ディー)」はローラースケートなども乗りこなせる。

場を盛り上げていたのは、ロボットゆうえんちの「プリメイドI」。“踊るメイドロボット”をサブタイトルに掲げ、キレキレのダンスを披露。すでにネットで公開されている動画も注目を集めており、なんとハリウッドの映画監督から「公開動画を参考にさせてもらった」という連絡もきたのだとか。

そして特別タイアップのデアゴスティーニ・ジャパンは「Robi 組立代行バージョン」を発売。本来は週刊『ロビ』という毎号付属のパーツを組み立てるとロボットが完成するマガジンシリーズなのだが、「すぐにロビに会いたい」という声に応えて、今回、組立代行バージョンを発売することにしたそうだ。

「プリメイドI」のみ9月の発売予定だが、それ以外の4体は、4月1日から予約受付を開始し、5月1日より販売開始(※販売価格と販売開始時期は予告なしに変更する場合もあります)。そう遠くない将来にやってくるかもしれないロボット一人一台の時代。あなたなら、まずどんなロボットがほしいですか?
(古屋江美子)