左からカボチャあん入りの「黄ペンギン」、スイートポテト入りの「紫ペンギン」、カスタードクリーム入りの「パングワン」(全て210円税込)。

写真拡大 (全6枚)

例えその名前が知られていなくても“どこそこのカレーパンの店”といった、スペシャリテ(看板料理)が噂を呼ぶ店がある。あるとき“ペンギンパンの店がある”“かわいいだけじゃなく、味も美味しい”との噂を聞きつけたので、早速調べてみた。その店は三軒茶屋にあるという。

大通り沿いではないものの、三軒茶屋駅南口からわずか1分ほどと駅近なそのお店の名前は「ぱんやのパングワン」。近づいてみると、看板にも愛らしいペンギンを発見……!

お店に入ってすぐのところに、ペンギンをかたどったキュートな「パングワン」(210円税込※予約は5個まで)が並んでいる。黒はカスタードクリーム入りの通年商品。この他、土日限定販売のチョコクリーム入りの「ピンクパングワン」(210円税込)、カボチャあん入りの「黄ペンギン」や紫イモのスイートポテト入りの「紫ペンギン」(ともに210円税込、12月末頃までの限定販売)といった期間限定商品があったりと、色とりどりのペンギンパンが……! 中でも目を引くのはクリスマスシーズンだけのスペシャルな「クリスマスパングワン」(税込300円※1日10個限定)。ペンギンサンタのおなかにはカスタードクリーム、袋の中にはビターなチョコレートがたっぷり詰まっていてかなり食べごたえのある一品だ。

実はこちらのお店、創業110年余りで黒パンが有名な老舗パン屋「精養堂」をリニューアルしたものだという。現在の店長である太田雅巳さんに話を聞いてみると……。
「もともとは曽祖父が牛乳屋をやっていて、それがパン屋に変わったのが90年ほど前のことです。私自身もあちこちの店で修行していて昨年末にこの店を継いだんですが、そのタイミングで改装して店名も改めました」

パングワンはフランス語で“ペンギン”の意味。そういえば看板だけでなく、店内カフェスペースなどのそこかしこに、オブジェや絵本などのペンギングッズを発見できる。

「単純にペンギンが大好きなだけなんです。リニューアルにあたって長く続いた店の名前を変えるかどうかは迷いましたが、自分の店になるということで思い切って決めました。普通にペンギンじゃなんなんで、フランス語でパングワンにしたんですけど……“パン”がかぶっているからいいんじゃないかと(笑)。店内のグッズはもともと自分で集めていたものもあるんですが、お店のお客さんからいただいたりしてだんだん増えてきましたね」

ペンギン推しであることはこれまでの話でも十分伝わるのだが、特筆すべきはパンそのもののソフトな食感や素朴な味わいだ。

「当店ではライ麦由来の自家製酵母を使っているんですが、これを使うことでフンワリとやわらかく仕上がって、風味も一段とよくなります。黒パンやあんドーナツなど精養堂の昔ながらのパンも一部販売していますが、そちらにも全て天然酵母を使っているので、以前よりも食感がソフトになっていると思います。パングワンに使っているクリームなどの材料にも、以前は一部既製品を使っていましたが全て自家製に切り替えました。既製品をなるべく使わない、手作りの味にこだわっています」

甘さもひかえめで、口にすれば気分がなんだかほっこりするこのパングワン。実は作るのにとても手間がかかるそうで、1日に最大150個ほどしか作れないとのこと。ニュースサイトなどに取り上げられたこともある人気商品のため、週末の夕方などには店頭からなくなってしまうこともあるそうだ。そのため現在は個数制限が設けられているが、他にも昔ながらのあんドーナツ(80円税込)など約70種類のパンが選べるほか、ランチセット(850円税込〜)などのカフェメニューもあるのでおすすめだ。

精養堂時代からのお客さんも含め、地元の人々に愛されている同店は今月オープン1周年を迎える。12月19日(金)〜21日(日)の3日間は1000円以上購入の先着150名にキュートなオリジナルデザインエコバッグをプレゼントするほか、500円以上の購入で焼き菓子などが当たる空くじなしのくじ引きなどのイベントを実施するそう(詳細はウェブサイト参照)。この機会に足を運んでみてはいかがだろうか?
(古知屋ジュン)

・ぱんやのパングワン
住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-36-15
TEL:03-3421-0615
営業時間:7:30〜19:00
休日:毎週月曜、第2火曜