テレビ、カーテン、ナースコール……。対応可能な機器とこの装置を接続すれば、視線を送るだけで作動する

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「眼力」という言葉があるけど、確かに強い力で見つめられると気圧される時があります。視線を向けられ、後ろずさりしてしまいそうな瞬間が。

そうです。“視線”の力って、すごいんです。そこで、ご紹介しましょう。株式会社エンファシスが来春からの実用化を目指している『アイスイッチ』、なんと視線の動きによって機器のON/OFFを切り替えられる装置なんです。例えば、『アイスイッチ』に向けてチラッと視線を送るとテレビがONになったり……。これは、未来だな!

そんなこの新システムを、まず同社は福祉分野に活かしていきたいと考えている模様。
「スイッチといえば“ボタン式”や“タッチ式”が一般的で、視線で作動する非接触スイッチは今までありませんでした。でも、体が不自由な方も眼球運動機能は残りやすいんです」(同社・担当者)
要するに目を動かすだけでON/OFFできれば介護の一助に、そして利用する人のQOL(生活の質)向上となるわけだ。

では、詳しい使用法について。この装置が成し遂げることは極めて未来形ですが、そのシステムは至極アナログです。
(1)『アイスイッチ』中央にあるカメラで、スイッチが作動する目線(正面を向いた目、左を向いた目など)を撮影。その静止画をあらじめ登録しておく。
(2)スイッチを作動させたくなったら、『アイスイッチ』のカメラ範囲内でスイッチが作動する目線(登録しておいた目線)を送る。
(3)感知した『アイスイッチ』が反応し、スイッチが作動。
目の動きをセンサーが細かく感知……という大仰な機能を使わずとも、目線でのON/OFF切り替えは可能です!

そんな『アイスイッチ』を体験した人たちからは、反響も多数。
「展示会などで体験していただいた、特に介護職の方々からはご好評いただいています」(担当者)
今までにも体が不自由な人向けに開発されたスイッチは存在したのだそう。しかし……
「既存の商品化されているスイッチですと、実際にスイッチに触れる、もしくは体に何かを装着・設置する必要があり、介護や生活の妨げになってしまうケースがありました。しかし、アイスイッチにその心配はありません」(担当者)
ナースコールを押したい時、テレビの操作したい時、チラッと目線を送ればOK。なるほど、さまざまなシチュエーションにて活躍必至だ。
「モノラルミニプラグが挿さる機器でしたら、『アイスイッチ』に対応できます」(担当者)

もちろん、福祉分野以外での活用も可。
「工場内であったり、手が離せない場において『アイスイッチ』があると役に立つかもしれませんよね」(担当者)

……が、まだ気は抜けません。来春以降の実用化までに、要解決な問題が残っています。
「視線を送るも反応しなかったり、いわゆる誤作動・無作動の問題が現時点で無いわけではないんです。より精度を高め、来春までには確かなものにしていきたいと思います」(担当者)

非常に画期的なシステムなだけで、万全なクオリティを期待したい。
(寺西ジャジューカ)