TGSが今年も仏トゥールーズで開催、地方で盛り上がる日本イベント

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フランス南西部の人にとっての日本イベントと言えば、ジャパンエキスポでもなくパリマンガでもなく、トゥールーズ・ゲームショー(TGS)だ。同イベントはフランスの団体「TGS EVENEMENTS」が組織し、テレビゲーム、漫画・アニメ、アジア文化、SFを主なテーマに、2007年から始まった。これら分野の愛好者は、アジア文化に興味を持つことが多いため、日本に関連した出展をする企業や団体も多い。

今年のTGSでは、在マルセイユ日本国総領事館の後援により、日本文化についてのエリアが用意された。能、華道、尺八、武道といった伝統芸能から、漫画家・松本零士展、会津張り子、漫画サークル、和食、日本酒、たこ焼き・お好み焼きの屋台など各ブースが、約600平方メートルの広さで集まった。日本からも『ロードス島戦記』などで有名な作家・ゲームデザイナーの水野良、ピンク・レディーの楽曲を歌うアイドルグループ、ピンク・ベイビーズが参加した。

TGSはフランス南西部において、現地日本愛好者に対する受け皿だ。ビジネスとしても、年々その規模を拡大させている。TGS EVENEMENTによれば、1万1000人だった初年度の来場者から年を追うごとに増え、8回目の今年は11月29日と30日の2日間で4万5000人を超えた。イベント回数も、TGSが春と冬に1回ずつ、そしてトゥールーズ西部の町ポーでポー・アニメ・ゲームショーを開き、TGS EVENEMENTとしては年3回の開催となった。

フランス全土で見たときに、日本カルチャーを含むイベントは、TGSやジャパンエキスポだけに限らない。例えばパリのジャパンエキスポが年1回、パリマンガが年2回開催されるのを筆頭に、リヨンのジャパン・タッチが年2回、ナントのジャパナントは年1回開かれる。仏南部では、マルセイユでジャパンエキスポ・シュード(今年は休催)とヒーロー・フェスティバルがそれぞれ年1回、ボルドーのアニマジアは年1回開催される。

イベントのテーマや規模は千差万別であるものの、それぞれのイベントに共通していることは、フランス人の手によって始められたということ。そして日系企業や団体の参加が少ないということ。フランス人が自らの手で日本をテーマに楽しんでいるという構造が、フランスにおける日本関連イベントのあり方なのだ。
(加藤亨延)