今年のボジョレー・ヌーヴォー飲んでみた! クリスマスディナーやおせちにもピッタリ!?

写真拡大 (全2枚)

11月20日にボジョレー・ヌーヴォーが解禁になり、既に美味しいお料理と頂いた方も多いのでは? 今回は、これまで特に銘柄も気にせず飲んでいたワインビギナーの筆者が、前回同様、代々木や逗子、仲町台にワインショップを構える「a.day」のオーナー松尾明美さんに、実際の飲んでみた感想をお伺いしつつ、いろいろと盛り上がりました!

――ボジョレー解禁しましたね! さまざまなお店で、“ボジョレー入荷!”の看板を見かけテンションが上がってしまいます。もちろん松尾さんもお試しに?
松尾さん(以下M)「私の店での取り扱いアイテム全てを抜栓しました。良い年でテロワールが明快に出て個性がそれぞれキチンと表現されていたという印象でした」

――“テロワール”とは、葡萄畑を特徴づける自然の要因(土壌の性質や構造、日照、方角、地形等々)の事ですよね。つまり、同じボジョレー地区であっても、その場所の特徴がそれぞれあって、今年はその場所の“個性”が私達にもわかりやすく、表現されているということでしょうか。
M「そうですね。全体的には、果実の凝縮感は過去2年よりとても良かったです。それぞれの生産者の気持ちが、良く表現されていて、エレガントな仕上がりになっていたと思います」

――実は、私もWINE MARKET PARTYさんのボジョレー試飲会に参加して10種類以上を飲み比べてきたのですが、“ボジョレーは味が薄め”というイメージを覆す、果実味が全面に出たものばかりでビックリしました! カジュアルな印象というよりは、まさにエレガント……いいお店で飲ませてもらった赤ワインのようなボジョレーもあって……感動的な出逢いでした。早速ですが、松尾さんが「美味しかった!」と思われたのは?
M「いろいろありますが、まずは、ボージョレー・ヴィラージュ プリムール レ・ラパン。ニコラ・テスタールという醸造家が作ったボジョレーです」

――聞いたことがあります! 2013年まではフレデリック・コサール(自然派ワイン界の超実力者)、2014年からはニコラ・テスタールなんて言われている注目の人物ですよね!
M「その通り。コサールとも親交があって、過去にはカリスマ醸造家フィリップ・パカレ氏の後継として醸造指揮を執っていたことも。色調は淡く。果実味、まろやかな酸、時間の経過とともに甘味を感じ、旨味を感じる非常に魅力的な出来上がりだったと思います」

――確か、ニコラさんは、酸化防止剤を使わず天然酵母で発酵。清澄、濾過は行わない=人の手を極力使わない方でしたよね?
M「そうなんです。なので、最初開けた時は若干発泡していて、ピチピチっとした味わいがありますが、時間が経つにつれ落ち着いてきて、旨味やコクが増してくるので、ますます美味しいですよ」

――うさぎのエチケット(ワインに貼ってあるラベル)も可愛いですよね! 他には?
M「お客様の人気の高かったのは、ボジョレー ヴィラージュ ヌーヴォー。程よいタンニン、しっかりした果実味。ピノ・ノワールを感じさせる味わいと香り。これまで以上にグレード感を感じさせてくれました。飲んだ満足度の高い仕上がりです」

――醸造家のジェローム ラコンダミンさんのワインはフランスの有名店「ビストロ デュ ソムリエ」でも取り扱われているとか。しかも、少量生産で日本では毎年完売。それにショッキングピンクにハートのデザイン……そんなに美味しければ、人気なのもナットクですね。
M「他にも、とても香り豊かだったヌーヴォーがありましたよ。ボジョレー・ヴァン・ド・プリムール。先ほど話にも出たカリスマ醸造家フィリップ・パカレ、さすがの実力を感じさせます。時間の経過と共に、洗練されたクオリティの高いワインが、スケールアップしていく印象でした。『ヌーヴォー』(新酒)ではなく、『ヴァン・ド・プリムール』(一番目のワイン)という意味もわかります」

――私もパカレ、飲みました! 毎年人気で最高評価、と言われるだけあって本当に美味しかった! 松尾さんのおっしゃる通り、「これヌーヴォー?」って思えるくらい、エレガントで繊細。確か、パカレさんはロマネ・コンティの醸造家たちと血縁関係にあるとか。個人的には、お料理に合わせず、これだけ飲んでいても楽しめる……
M「他にお気に入り、見つけられました?」

――私は、ブルゴーニュを代表する自然派の名手フレデリック・コサール氏と若干22歳ケヴィン・デコンブが手を組んだ「ボージョレ・ヴィラージュ・プリムール」が、何とも味わい深くて大好きでした! 22歳に惹かれた訳ではありません。といっても、彼はお父様がこれまた有名な醸造家さん。とっても優しく丁寧に作られているのが伝わってきて、香りも芳醇で果実味も凝縮されていて、でも、もちろん重たくないので、和食に合わせてみたいって思いました。
M「そうそう、ボジョレーは和食にも合うんですよ。煮物やおせち料理にもね」

――たしかに! お醤油やみりんの味、鶏肉やお魚とのマッチングはかなり期待できそうですね。そういえば、試飲会でお世話になったソムリエKさんは、「たこ焼きにも合いますよ。かつお節とソースのコクがぴったり。」と仰っていました。たこ焼き×ボジョレー(笑)。クリスマスメニューはどうでしょう?
M「もちろん、ピッタリです。チキンのローストやローストビーフにも合わせやすいですし、私が先日頂いた魚介のグリルとも相性抜群。程よい酸と旨味がお料理とのマリアージュを楽しませてくれるはずです。たとえば、ドメーヌ・デュ・ヴィスーボジョレー ロゼ ヌーヴォー レ グリオット。2世紀以上に亘ってワインを造り続けている家族規模の生産者でとってもフルーティでチャーミング、果実感、ミネラル感、非常にバランスの良い仕上がりになっていて人気です。テーブルが華やぎますね」

――そうそう、ロゼといえば、「これもボジョレーなんですよ」と、ロゼのスパークリングを飲ませて頂いたんです。「カレス・ロゼ ガメイスパークリング」。中甘口でアルコール度も低めなので女性にも人気だとか。いちごのような香りがして新鮮でした。パーティで活躍しそうな。
M「たとえば、クリスマスケーキに合わせても美味しいですよ。うちでは、オーストリア、ゾッター社のチョコレートを扱っているのですが、“ラズベリーココナッツ”が相性バッチリと人気です」

――ケーキやチョコレートにボジョレー! まだ試してみませんでした。想像しただけでもゴージャスでセレブな気分です。色んなチョコレートを用意して、皆でワイワイ言いながら、好みを見つけたりすると楽しそう。
M「ベリー系が入ったチーズケーキなんかも、いいですよね」

――あぁ……天国ですね(感涙)。そして、ボジョレーといっても、まさに松尾さんが最初にお話くださったように、醸造家やその土地の個性によって、さまざまな違いがある事がよくわかりました。
M「いろんなボジョレーを飲み比べるのも楽しいですよね。今年は特に酸味よりも果実味が前面に出ているので、ワインにあまり馴染みがない方でも、楽しんで頂きやすいかも知れませんね」

――ですね。これからクリスマス、お正月までしばらくボジョレーを楽しみたいと思います!

今回は、自然派のボジョレーを中心にご紹介しましたが、他にも魅力的なボジョレーはいっぱい。しかも、味も香りも様々。飲みくちはいずれもスッキリしているので飲み疲れは無さそうですし、ぜひいろんなシーンでボジョレーを引き続き楽しんでみてください!
(ミカマイコ)