チャーシューは2色の毛糸をつかい、脂身と肉の部分を再現。

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ここ近年、編み物が大きな変化を遂げていることをご存じだろうか。
お茶を楽しみながら編み物が出来る「ニットカフェ」が都内各地にオープンしたり、自分の作品を通信販売できるCreemaやminnneといったサイトも注目をあつめたりしている。今や編み物は、若者にとっても気軽にできるスタイリッシュでおしゃれな趣味になりつつあるのだ。
そんななか、こんなものを編み物で作ってしまうなんて! と話題になっている動画がある。それがこちら、「【Crochet】ラーメン毛糸でクッキング【Ramen】」だ。

この動画は、「こちらにある新鮮な毛糸を使って、おいしいラーメンを作ってみようと思います」と紹介するところから始まる。ラーメンの麺や、具材はすべて毛糸で器用に作り上げられていく。透明なスープはカラーセロファンを使って再現。普通にラーメンを作っているのかと見間違うほど、その完成度は高い。

この動画を投稿したべっちんさんは他にもユニークな作品を投稿し、その動画数はなんと151個にものぼる。

編み物のイメージをくつがえすこのような動画を作ったきっかけはなんだろうか? べっちんさんご本人に話をうかがってみた。

――どうしてこのような手芸動画をあげようと思ったのでしょうか。
「もともと動画をあげることに興味があって“どうせあげるなら人が少ないジャンルがいいな”と思い、最初の動画を制作し始めました。手芸を始めたのは、その3カ月前とかでしたね」

――動画を作る上で気をつけていることなどありますか。
「手芸動画はどうしても作品の“紹介”になりがちなんです。そうなると、マンネリになってしまいます。それから抜け出すためにも、できるだけ他の人が編まないものを編もうと気をつけていますね。あみぐるみでも既存のキャラクターじゃないものだったり、見せ方もコマ撮りなど、見ている人が面白いと思ってくれるような動画作りを心がけています」

――男性が手芸をするというギャップもべっちんさんの人気を支えているのかなと思いますが、男性から見たあみぐるみ(編み物でつくった人形)の魅力とはなんでしょうか。
「男性ならではの発想を、あみぐるみで発揮できるところですかね。たとえば、『攻殻機動隊』にでてくるロボットのタチコマを作ったとき、ボールジョイント式を採用したことがあるんです。これはよくプロモデルの組み立てで、関節を動かしやすくするため使われている方式です。私は、まさにプラモデルをヒントに思いついたのですが、あみぐるみではなかなか珍しい方法だと後から聞いて驚きました」

「これは女性にとっても同様だと思いますが、手軽に始められるのも魅力です。道具も材料も100円ショップで集められるし、材料は毛糸だけだから手が汚れることもない。パッとはじめられるから、私自身ずっと続けられているのかもしれません」

――手芸動画をあげていて嬉しかったことはありますか?
「技術的なことを褒めていただくのも嬉しいのですが、やはり笑ってもらえたときが純粋に嬉しいですね。ニコニコ動画でいうと“www”のコメントが流れるみたいな。動画をエンターテイメントとして楽しんでもらえると嬉しいです」

自分の作品を他人に“紹介”するだけではなく、“エンターテイメント”として楽しんでもらう。今までになかった創作の楽しみ方として、手芸動画は新たな道を歩んでいるのかもしれない。
(ろっくまん)