Windows 8.1 Updateは退化なのか進化なのか?スタートメニュー復活願望の意味

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4月9日、Windows XPのサポート終了の影で最新OS Windows 8.1 Updateの提供が開始された。今回のアップデートでは、スタートメニューが復活するのでは?という噂と期待が集まった。

実際にアップデートが公開されると、期待とは裏腹にスターメニューの復活は見送りとなった。前回のWindows 8から8.1のアップデートでは、スタートメニューライクなメニューは追加され、PCのシャットダウンなど、一部スタートメニューに近い機能は再現されている。

Windows 8は、Windows 7以前の基本ソフトとは大きく異なるOSとして登場した。過去、15年以上にわたり操作性と機能の下位互換にこだわり続けてきたマイクロソフトにとって、初めてともいえる大きな変革を目指したOSといってもいいだろう。

●スタートメニュー削除の不満は、スケープゴートか?
現在のWindows 8/8.1の移行は、決して順調とは言えない。移行を妨げているのは、iPadやAndroidなどのタブレット端末の台頭も要因としてあるが、もっとも大きな理由は従来のWindowsから大きく変更されたデスクトップの操作性だろう。

Windows 8/8.1は、タッチ操作に適したスタート画面とマウス・キーボードといった従来の操作に適したデスクトップ画面を搭載する。この2つの画面を利用シーンやアプリにあわせて切り換えて利用する。

Windows 8/8.1は、それまでのWindows 7以前より起動時間が早くなり、画面表示も快適になった。しかし、タブレットのようなタッチ操作にこだわりすぎたことで、2つの画面の使い分けや、従来のデスクトップ操作との違いから、新OSへの移行を躊躇するユーザー、企業も多く、苦戦を強いられる結果となっている。

スタートメニューがWindows 8/8.1から削除されたことに対する不満は、変わったデスクトップ画面操作に対する不満のスケープゴートでもあったのかも知れない。実際、Windows 7以前のスタートメニューは、シャットダウン、アプリケーションランチャー、ファイルエクスプローラーなどの呼び出しなど多機能なものとなっている、多くのユーザーは、よく使うアプリのショートカットをデスクトップ画面に置くなどして、スタートメニューの機能は電源オフを使う以外にはあまり使わないというのが実情だったからだ。

Windows 8/8.1でのスタートメニュー削除への不満、復活への期待は、Windows 8/8.1でのマウスやキーボードを主体に利用する既存ユーザーのWindows 8/8.1デスクトップ画面の操作性に対する「NO」という回答だったのではないだろうか。

●8.1Updateは退化なのか、進化なのか?
日本は、世界でも数少ないWindows 8/8.1がセールス的に成功している国といわれている。Windows 8/8.1をすでに使いこなしているユーザーからは、スタートメニューを含む旧バージョンのUI復活は不要だという声もある。今回のWindows 8.1 Updateではスタートメニュー復活は見送られたが、すでに8.1には、Windowsアイコンの右クリックからのメニューでシャットダウンやエクスプローラーの起動、コマンドプロントの呼び出しなど、スタートメニュー的な機能は再現されている。そして今回のWindows 8.1 Updateでタスクバーでの起動アプリの表示、スタート画面でのコンテクストメニュー(右クリック)など、Windows 7との下位互換もさらに追加された。

Windows 7以前の使い勝手を再現した今回のアップデートで、 Windows 8.1への移行はしやすくなったと言えるだろう。しかし、それは余計な操作や機能を省いたWindows 8.の方向性と真逆の対応とも言えるだけに、今回のWindows 8.1 Updateの評価は、進化したのか、退化したのか、人によっては意見が分かれそうだ。

では、ここでWindows 8.1 Updateの新機能をみてみよう。

●Windows 7以前と同じような操作感で使えるWindows 8.1Updat
タスクバーは、ピン留めされているアプリだけでなく、起動中のアプリもタスクバーに表示されるほか、タスクバーから Windows ストアをオープンできる。


Windows7ライクなタスクバー


また、これまでスタート画面とデスクトップ画面では、マウス操作が一部異なっていたが、Windows 8.1 Update後は、統一された。これで、アプリでの閉じるボタンと最小化ボタンなどの表示も統一された。


統一されたマウス操作


これらの変更により、使い始め、そして電源オフまで従来のWindows 7以前の操作に近い感覚で使用できるようになっている。また、電源オンからの起動後の最初の画面が、スタート画面からデスクトップ画面に変更となっている。
※Windows RTなど機種によってスタート画面が起動画面となる場合もある。

●現状でも一部機能は使えるが、完全なスタートメニュー復活はあるのか
また、前回の8.1でスタートメニューの一部の機能は、タスクバーのWindowsアイコンを右クリックすることで表示させられるスタートメニュー風のメニューで実現されている。見た目こそスタートメニューには見えないが機能は、エクスプローラー、コントロールパネル、コマンドプロンプト、ファイル名を指定して実行、シャットダウンなど、スタートメニューで利用できた一部の機能が利用できるようになっている。


すでに8,1で一部スタートメニューの機能も利用可能


●Windows 8.1は進化している?
操作面からみるとWindows 7化したことで後退したようにも見えるWindows 8/8.1だが、本当にそうなのだろうか。

マウスオペレーションの統一は、スタート画面とデスクトップ画面、どちらをメインに利用するユーザーにも恩恵がある。統一によりタスクバーの起動アプリの表示やWindows ストアアクセスも、スタート画面とデスクトップ画面をよりスムーズに利用できる。前回のアップデートで搭載されたスタートメニューに近い機能も、確かにチャームとの機能の重複はあるが、右クリックでの呼び出しなのでタッチ操作の邪魔になるわけでない。

今回のWindows 8.1 Updateは、ユーザーに不評だったWindows 8/8.1のデスクトップ画面の操作性と動作パフォーマンスを大きく改善することが目的だと言えそうだ。

実際、Windows 8.1 Update後は、表示や操作面の動作速度がアップデート前よりも高速化されており、初期のClover Trail(Atom X2760プロセッサ)搭載PCや、Windows RT機などでのパフォーマンスも向上している。

マイクロソフトは、スタートメニューの削除などで「Windows 8.1で失敗した」といった印象も広がっているが、着実にWindows 8.1の完成度を向上させている。

気がつくと何年か先でも、マイクロソフトとWindows 8.1は、これまでとかわらずに世界のPCの中心に居残っているのかもしれない。

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