不倫は本当にいけないことなのか?

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 イケナイ恋の代名詞と言えば、「不倫」ですよね。ドラマで、漫画で、小説で、「不倫」というテーマは「恋のタブー」として頻繁にとりあげられています。
 現代の日本ではご法度とされる不倫。でも、不倫ってどうしていけないことなのでしょうか……?
 そんな疑問を投げかけるのが『官能教育 私たちは愛とセックスをいかに教えられてきたか』(植島啓司/著、幻冬舎新書/刊)です。

■世界中の合法的「姦通」
 そもそも一夫一妻の社会は近代にいたるまでほとんど存在しませんでした。一夫一妻はあくまで選択肢の一つでした。
 それどころか合法的「姦通」のシステムもあらゆる歴史上で散見できます。
 例えば、かつてギリシアのスパルタ。夫の承諾があれば、妻はほかの男性と自由に関係を結べたといいます。また、14世紀フランスでも、夫の承諾のもと妻が「ヴァランタン」という恋人役の男と恋の戯れに興じる行事があったそうです。
 現代でも、一夫一妻制からはみ出た社会は、実は世界中に分布しています。
 例えば、アマゾン流域に住むクイクル族。クイクル族の男女は思春期になるとすぐ結婚するのですが、結婚して数カ月もすると「アジョイス」という恋人を作り、ほとんどの村民が一度に四人から十二人の浮気相手を持っているのだとか。
 このように、一夫一妻制は必ずしも人間の「常識」とは言えないのです。

■愛はいつまでも続かない
 人類学者のヘレン・フィッシャーによれば「愛は四年で終わるのが生物学的に自然」なのだそう(『愛はなぜ終わるのか』より)。
 実際のところ、世界の多くの国々で離婚のピークは結婚四年目にあるといいます。それは「伝統的な人類の出産の間隔である四年とも一致」します。
 つまり、繁殖期間だけつがうキツネなどの動物と同様、人間も生物学的には子どもひとりを育てる間だけ雄雌の一対で暮すようプログラミングされているのです。とすれば「われわれ人類は生まれつき浮気をするようプログラミングされている」と言える……のかもしれません!?

 いかがでしょうか?
 時代によって、また地域によって愛の価値観はさまざま。
 現在の価値観によれば、不倫はタブーです。でも、歴史的・生物学的にみると、不倫を「絶対悪」と決めつけることはできないのかもしれません。
(新刊JP編集部)